ランジェ日記 + !

ローゼンバーグで活動するランジエの日記  公式イラスト400枚以上収蔵 プチ情報や検証 ランジエチャプターを小説風に公開など 様々なコンテンツにも取り組んでおります

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EP2 チャプター1 The Greed

Chapter 1 The Greed




ep11.jpg

「ところでこの略式サポーター 私が貰っても良いのか? お前の方はどうするつもりだ」

「その装置の中枢は私たちのアジトにある 床を一枚剥がして その下にある精製石や魔石を大量に消費して その反応を利用するんだ」

「また魔法講義か・・・ とにかくこれを持って行ってもお前のほうは大丈夫なのか?」

「簡易的な物だが こっちにももうひとつあるんだ しかしアジトにあるマナの量は限られているから無駄遣いはしないで欲しい」

「仕事を終えたらすぐ戻るつもりだ そんなに使う事はないさ お前こそどこをそんなにほっつき回ってるんだ? まるで傭兵の仕事でも始めたかのようだ」

「アハハ 傭兵か 私のような傭兵を雇う人がいるはずないだろう? 想像力が豊かだな」

「それに連絡担当者を訪ねたんだろ・・・ その連絡担当者にふたりの冒険家の紹介を受けて エルティボなんかに行かせなければならない理由があるのか?」

「ああ 少し気になる情報提供があったんだ 情報と呼ぶにはまだウワサの段階だから言えないが 出来れば私がエルティボへ行くつもりだ 直ぐではないが お前がケルティカに戻る頃には出発したいと思う」

「・・・・ 結局私の質問には ひとつも答えていないな」

「え? それはひどいんじゃないか? 略式ワープサポーターについてちゃんと説明しようとしたじゃないか 聞くのを嫌がったのはそっちだろ」

「どうにでも言え・・ はぁ・・・ とにかくここで別れる事にしよう お互い行き先は遠い」

「ああ 頼んだよ」

「お前の宝物のような妹さんにも宜しく伝えてくれ」

「ランズミは心配性だからだめだ お前が遠いところにいると知ったら絶対に心配するからな」

「心配くらいはしてもらってもいいだろう? お土産に何が良いかアドバイスしたのも私だぞ」

「聞いたのは私だ じゃあ気をつけるように ギルデンスターン」

「チェッ・・・」




-ナルビク-

一度ナルビクに戻ったランジエは ギルデンスターンに聞いたナルビクの特産品アイスクリームを購入

あの日の彼がいないか注意して気を配っていたが 既に街にはいないのか二人に出会うことは無かった

一目のない場所で装置を作動させたランジエは ケルティカへと戻って行く




-ケルティカ 街外れ-

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

(やっぱり今回も完璧には作動しなかったか・・・ それでも近郊に落ちてよかった・・)

「さて・・ まずはランズミのところへ寄ろう お土産も渡さないとな・・」


-ランジエ家-

ep12.jpg


「ワン!」

ドアを開けた瞬間 プリンが駆け寄ってくる

「お兄ちゃん お帰りなさい 最近すごく忙しいの?」

「うん 少しね・・・ これはプレゼントだ」

そういってランズミに土産用に買ったアイスクリームを手渡す

「ありがとう お兄ちゃん」

「ワン!」

自分のかと思ったかプリンが尻尾を振りながらこちらを見ている

「あのね お兄ちゃん メイお姉さんをみかけないんだけど 少し心配 何かあったのかな?」

「そうか? 大丈夫だよ」
(たぶん大丈夫だろう・・・)

「うーん そうかなぁ じゃあちょっと待ってみる」

「何か変わった事はないか? 必要なものとか」

「ランズミは必要なものはないよ メイお姉さんが時々来てくれるから ちょっとうるさ・・・ううんなんでもない」

そういってランズミは言葉を濁らせた

「あ そうだお兄ちゃん 悪いけどちょっとお願いしてもいい?」

「うん?」

「プリンのえさ ちょっと残ってるみたいで・・・心配なの・・・具合が悪くなっちゃったらって思うと 私心配で・・・」

「分かった 心配するな」

「ありがとう お兄ちゃんはなんでもやってくれるって知ってるけど それでも私心配になっちゃうの ごめんね」

「大丈夫だ」
(あまり心配する必要はないと思うが 以前犬に上げる栄養食について教えてくれると言っていたレイモンド様の所で聞いてみるか)

そういってランジエは家の外へ駆け出していった


-ケルティカ広場-

ep13.jpg


広場には何名かの人の姿が見えた 言い争ってるようにも見え 遠目からも話し声が聞こえてきた

「カラス・・ あの・・・そんな」

フルヴィオが心配そうに隣の女性を見つめている

「あぁ!俺は知らねぇって! ここ数日ずっとなんでそんな事を聞くんだ!?」

大声を上げながらルイスは正面の女性を睨み付ける 

「どうして人に迷惑をかけんだよ? 武器屋の事は武器屋に聞けよ! ベケットのじじぃのハンマーで殴られるのが怖いのか? フンッ!」

「あの・・・ルイスさん みんなルイスさんのことが心配だからだと思いますよ」

フルヴィオは宥めるように話しかける

「急にルイスさんがベケットさんの孫だと知って 訪ねてくる人もいましたし・・・やはり雰囲気もよくないようですからね」

「あぁ!うるせぇ! あのじじぃと俺と一体なんの関係があるってんだ? 孫?ハッ 今では他人同士だってんだ!」

「でも~ 本当に怖いわよね? ベケットさん無口でいい人だと思ったのに 影で貴族たちに武器を売ってるなんて・・・ 噂だとしても火の立たないところに煙は立たないって言うじゃない?」 

桃色の髪を靡かせ フルヴィオの婚約者 カラスはそうルイスに問いかける

「か・・カラス・・・どうか・・・・」

「ふん! フルヴィオはどうしてそんなに小心者なのよ 問い詰めるところは問い詰めないと!」

「くそ!しらねぇよ!これ以上俺に迷惑をかけるな!じじぃが何してるかなんて俺は何もしらねぇよ!」

「とにかくーベケットさんは防具しか売らないしー 詳しい話はしないからねぇ 事情を知らない人たちは金持ちだけに武器を売ってるって思ってるんじゃない」

警備隊のアッシュはどちらともといった感じで話を続け

「あー知らない知らない 面倒くさい 何で武器が必要なのかね~ 庶民は僕ら警備隊を信じて暮らせばいいのに~」

警備隊のレイジーはあまり興味もなく 面倒くさそうにしている

「あら~ レイジーさんをどう信じろというの? 今だって警備区域を離れて ルイスさんを言い訳にさぼってるじゃない」

「・・・とにかく ルイス君・・ 周囲には気をつけて そんな噂を本気にしてケンカを売ってくる人もいるかもしれないからね~」

「はぁ~一体誰がそんな下らない事を言ってまわってるんだか・・」

「気をつけてねー ルイス」

「あぁ~ 面倒くさい 勤務だけでも面倒なのに~ 噂までさぁ~」

「しかし ルイスのやつは非協力的だし 一体何事になってるのやら・・」


「おーい!」

遠くから警備隊マルコムが駆け寄り 声をかける

「アッシュさん! 持ち場を離れすぎだ! さぼってるのがバレたら大変だぞ? ジェスパーさんが探してたよ!」

「しまった! ふぅー 町の隅なんて守っても意味ないのにー・・・ つまんないなー」

マルコムの一言で面倒そうにアッシュとレイジーが持ち場へ戻っていった



(興味深い噂が流れてるようだ・・ 今は人が多すぎるからあとでフルヴィオ様に聞いてみるか まずはレイモンド様にカスタードのえさについて聞かなければ)








-ナルビク魔法商店-



「そうです・・・私があなた達民衆の友とつながったのは あの子達の父親の行方を捜そうとしたからです  手助けをするくらいは出来ますが 積極的に参加してくれと言われるのは困ります」

「そうですか 残念ですね あなたならその情報を持っていると思ったのですが」

「あら そんな口先だけの・・・ あなた達も心から私を信じてないでしょう?」

「はは さすがは手強い方です」

「参加を求めるのなら賢明な助言者はどうしてこないのですか? あなた達がその情報に関して 私からの誠衣ある返事を聞けると判断したのならば 当然その人が来るべきでしょうに」

「ふむ」

「とにかく私はあなた達に好感は持っていますが 協力はできませんので帰ってください」

「でしたら その好感 証明しては頂けますか?同士の為 メリッサさんの代わりが出来る人を推薦して下さると助かります 何の収穫もないと私もあの人に面目が立たないのでね・・・」

「ホホホ 私の代わりがそんなにいるならば あなたもここまで来なかったでしょうに 何が望みですか? そんな風に全てを知ったような表情で見つめないで下さい」

「アハ これは失礼 しかしメリッサさんが非協力的なものですから 私もがっかりして・・・ おそらく助言者達もがっかりするに違いありません」

「私には関係ありませんわ」

「若く慎重な可能性多き子供たち これでも知らないふりをするのですか?」

「なんのことかしら? うちのお客さんをどうして 私が紹介しなきゃならないのでしょうか?あなた達が直接すべきことではありませんか」

「ハハッ」

「あの二人はまだ・・ 二十歳にもなっていないようだったのに そんな子供たちを・・・」

「年は重要ではないのです それは私たちの助言者達も言っています しかし今おっしゃったお話で メリッサさんが本当に私の言葉が分からなかった訳ではないようですね」

「あの子達は幼すぎます あなた達の仕事と何の関係があるのかまったく・・・・」

「それはメリッサさんが心配することではありませんよ とにかく事実はいつも一致するわけではないのです ハハッ」

「・・・・・ それならば・・・わかりました あの子達に話を切り出してみましょう その後のことはあなた方が適当にして下さいね?」

「ありがとうございます メリッサさん・・ それでは・・・・」

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そういい残し男は闇の中へ消えていく

「まったく・・これまで何も言ってこなかったのにどうして今更・・・ あの子達を知った口ぶりだったし 私に敢えてこんな提案をしたのかしら?」

(でも一体なぜ・・ 私が民衆の友と接触したのはイルマの父親の消息が聞けると思っただけ・・ 彼らの意思に賛同するつもりはなかった・・)


「結局 こうして手を貸すことになるとは・・どうかあの二人が私の提案を断りますように・・・」





-ケルティカ市民街-

アジト近くにある小さな広場には警備兵のレイモンドが立っていた

「こんにちはレイモンドさん 実はお願いがあるのですが」

「なんでしょうか?」

「前に言ってた犬のエサについて聞きたいのですが 最近どうもうちの犬がエサを食べないようで・・・」

「確か大きな年を取った犬でしたよね? 刻んだ肉などを入れるといいですよ あとは・・・サメのヒレが栄養食になりますがこの地方にはあまりないですからねぇ」

「なるほど・・・ 助言ありがとうございます さっそく行って見ますね」

「いえいえ 役に立てたみたいで嬉しいです さようなら~!」

(刻んだ肉か・・・試してみよう 商店にでも行ってみるか・・・)


ランジエは近くの商店で小さな肉を購入し 足早に家に戻っていった




-ランジエ家-

「あ・・・帰ってきた あのねお兄ちゃん いつのまにかプリンが出て行ったみたい・・・どこ行ったのかな?」

「うん・・・ 心配する必要はないよ この辺の道は全部知っているはずだから」

「早く帰ってくれば良いけど・・ 横にプリンがいると安心するの」

(プリンは賢い犬だ 心配する必要はないだろう・・・)

「・・・街でみかけたら連れてくるよ」

「本当? ありがとうお兄ちゃん」

(カスタードよりも さっき広場で聞いた話が気になるな・・・ フルヴィオ様に会ってみるか)

「じゃあ また少し出てくるよ」

「うん いってらっしゃいお兄ちゃん」


-ケルティカアジト付近-


「こんにちはフルヴィオ様」

「こんにちはユスティン君 さっきは広場でみかけたようだけど 余裕がなくて挨拶が出来ませんでした そうだ この前の苗族の話なんですけどね こんな伝統を持っていたそうです」

「伝統ですか?」

「命の恩人には一生従うという伝統があり しかも名前には神聖な力があると言われ誰にも教えないそうです 苗族が自分の名前を教えるという事は その人の為に全てを捧げるという意味があるそうです」

「とても興味深い話ですね」

(・・・星が道を教えてくれて 神の意思に従う 彼らは武具によって守護者を引導する種族・・・ これ以上星が輝いてくれないのならば 彼らは何に従ってゆくのか?)

(誰かを導くことが出来なくなったら・・いや導く必要が無くなったら彼らの引導者は何の為に生きていくのだろう・・・)

「それともう一つ これはベケットさんについてのウワサなのですが・・・」

「ベケット様に何かあったのですか?」

「ベケットさんがお金をもらって 魔法精製石を流通させている・・・そんなウワサです そのせいでベケットさんの所に行って 魔石を求めようとする人がいるみたいで」

「魔法精製石ですか・・・」

「ベケットさんは当然そんなことはないと キッパリおっしゃったようなんですが 求めている人達は信じられずにルイスさんの所へきて お前も孫だったら持ってるんじゃないか?って ルイスさんも過剰に反応する人なので・・」

「それで事が大きくなったのでしょうね うーん でも変なウワサですね 魔石と言うのは貴族や 高位の魔法使いと縁が無い限りほとんど手に入らない物ですから」

「はい 質の良いサイモペインやエーリア・コートンを手に入れるだけでも簡単な事ではないですよね ましてそれを利用して魔法精製石を作り上げるなんて 一部の高等な魔導師にしか出来ない事ですから」

「確かに一般的な話ではないですね」

「その上この辺りでは 大部分の魔石は王室の管理を受けているということ ユスティン君もご存知ですよね? 王立アカデミーや魔法院で使ってる珍しい物です」

「ならばどうしてそんなウワサが流れているんでしょう? ベケット様でないとしても この辺りの誰かが実際に魔石を手に入れた可能性があるのでしょうか?」

「そうですね・・・ベケットさんは武器は扱わず防具しか作らない方ですし そういった面が普通じゃなく見えて隠し事があるように 見えてしまったのでしょうね それに・・・・」

「?」

「いや・・・これは推測に過ぎませんので役には立たないでしょう とにかく こんなウワサは早く静まればいいですね このままではルイスさんの方がトラブルを起こしてしまいそうです」

「そうですね 私も出来るだけ調査し 協力できればと思います」

「魔石に関して興味がおありなら 私よりそこの雑貨店にいるサラサーテさんに会うのがいいですよ 私はすこしルイス君の様子を見る事にします」

「はい わかりました それではサラサーテ様に会ってみます」

「では・・・・」


-ケルティカ 雑貨店-

珍しい物も扱うケルティカの雑貨店 中には色々と飾られており 

店主のサラサーテも 自らの店を展示館と言う程である

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「いらっしゃいませ 我が展示館にようこそ」

「こんにちは」

「お探し物がおありですか?それとも珍しい物を見物しにいらっしゃったのですか? フフ・・どちらでも歓迎です」

「実は魔法精製石が手に入らないかと思い立ち寄りました あ 勿論使い終わった魔石の方です マナはなくとも燃料として使えますから」

「それほど寒い訳でもないのに もう燃料をお求めですか? フフフ もちろんこのサラサーテ 時々利用価値の落ちた魔石を入手します 首都ですから貴族や魔法師の方が使い終わった魔石を安値で買い取ったりもしますので」

(さすがに魔石自体はなさそうか・・・・)

「そういえば ルイスさんが魔石の嫌なウワサで苦労しているようでした ベケットさんの人柄からして貴族や金持ちに魔石を調達してあげるなんて馬鹿げた事するはずないのに・・・」

「そんなウワサが流れているようですね」

「どうしてそんなウワサが立ったのかしら・・・ 理解できないです 少なくともそのような状況を確認しようと調査して回る人がいるという事だけは事実のようですが」

(・・・状況を調査する人がいる・・・? 気になるな・・・ そうだメイリオナ様も王城によく出入りをしている 当分気をつけたほうがいいと伝えなければ・・・)

「とにかくご存知でしょうが 魔法精製石を手に入れるのは意外に難しいことです いくらこのサラサーテでも 手に入れれるのは使い終わった物や品質の悪い魔石ぐらいです」

「そうですか・・・ ベケットさんのウワサ 早く静まれば良いですね」

「あ ベケットさんの話以外に 少し信憑性のある別のウワサならひとつ知っています ベルマフさんがどういう風の吹き回しか 大金を使って傭兵をたくさん雇ったというウワサです」

「傭兵? ベルマフさんは武器商人ですよね 商人が傭兵を雇うなんて・・・何のためでしょうか」

「それは私もすごく気になりますが あ すいません そろそろ他のお客さんが来る時間ですので またお会いしましょう」

「いえ いろいろなお話を聞かせて下さりありがとうございました では・・・」


-雑貨店前-

(あえてベルマフ様のウワサを聞かせて下さったということは 関連があるかもしれないと考えているようだ ベルマフ様がベケット様とあまり仲が良くないということは私も知ってはいるが・・・)

(・・・ もうすこし明確な関連が見えればいいのだが・・・ ベルマフ様が魔法精製石の為にベケット様を苦しめている張本人だという証拠とか・・・)

(ベルマフ様が魔石を手に入れなければならない理由とか・・・ 結局今あるだけの状況だけで理由が無い いろんな意味で)

「・・・・とりあえずはランズミの所に帰る途中カスタードも探してみよう 遠くは行ってないだろうから・・・」


(サラサーテ様の言葉とフルヴィオ様の話を統合すると 理由は分からないがベケット様が魔石を扱えると誰かが信じているようだ そして誰かの動きを知った また別の誰かがベケット様に近付いたんだろう)

(・・・ベケット様とルイス様を苦しめているのはベルマフ様かもしれない 急に傭兵を雇い始めたなんて不自然だからな 少なくともベルマフ様の傭兵たちが 別の目的の為に雇われたのならそのような情報に詳しい フルヴィオ様が知らないはずはないだろう)

(そしてベルマフ様がそのウワサを信じて魔石を手に入れるためにベケット様に 近付いたのなら・・・ ・・・まだ不確かな事を前提にするのは非効率か とりあえずはここまでにしておこう・・・)

(しかし ただのつまらないハプニングで片付けられそうにないか 今何が起っているのかもう少し詳しく知っておいた方がいいだろう 私たちのことがどんな形であれ 漏れる事になれば大きな問題だ)

「限定的ではあるが 大方の事件の構造は見えてきたか・・・・ ・・・あ」

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「さあ お食べ わんちゃん」

「ワン!」

フルヴィオがカスタードにエサを与えている 随分とフルヴィオになついているようだ


「・・・やっぱりこいつは 放っておいても何の問題もないじゃないか・・・ ランズミは心配し過ぎだな・・・」





-アノマラド王立アカデミー協会室-

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「ですから~ どうしてこんな結果が出るのか私には理解出来ないんですよ アカデミー長! 今日こそは確実な説明を聞かせてください もう7回も同じ方法で実験してるのに・・・これは前提から間違いの判断をしなければ」

「オ・・オッホン 繰り返し実験を重ねて結果を無数に確認するのは学者として当たり前のことだ ディルウェン君 何が間違っているというのだね? オッホン・・・」

協会室でアカデミー長のグレビルと研究者のディルウェンが実験について話をしていた

「限定された予算の中で という言葉をお忘れですよグレビル様 先日私が出した新しい研究企画は予算不足を理由に破棄されたんですよ? このような状況でこの実験に予算を編成し続ける理由は何です?」

「オ・・・オッホン・・オッホン」


部屋の反対側ではメイリオナと研究者のラウルが別の話をしていた 机の上には大量の魔石が並ぶ

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「わあ 本当に質の良いエルカナンだね! こんなのがテーブルに適当に置かれてるなんてこれこそ天国だね! ねぇラウルさん これ持ってってもいいよね?」

「そ・・そ・・そんなことしてバレたらどうするんだ・・ ディルウェンさんの友達なのは分かるけど・・・ ここでの魔石の量は決まっているんだよ・・・」

「どうせ大半が捨てるんでしょ おかしな実験に使ってまともに記載もしてないじゃん どうせ消費されるものなら もうちょっと生産的な事に浪費される方がいいでしょ?」

「それは・・・・そうだけど・・・・」

「でしょ~? ケチんなってラウルさん! この魔石たちも私みたいな賢い学者の手の中で光を失う方が喜ぶと思うよ ウフフッ」

「はぁ・・・どうせ魔石なんて実験の材料に過ぎないものを いちいち確認する人はいないけど・・・ でも不安で・・・ あなたのせいにしてる訳ではないけど・・・」

「だいじょ~ぶっ! 誰も確認しないでしょ? ねっ? 代わりにラウルさんの実験を時々手伝ってあげたり 資料を作ってあげてるじゃん これでお互い役に立てばいい事でしょ」

「そ・・・それもそうだけど・・・ でも王室の物なのに・・・」


協会室の扉が開き 無愛想な近衛騎士が入ってくる

「メトカーフアカデミー長 この前提出した資料に問題があるようなのでお伺いしました」

「オッホン・・・何かな・・・」


(おっと 招かれざる客だね・・ 気付かれると面倒だからこの辺で退散するかな~ 手に入れるモンも手に入れたし・・・)


「あ こんにちはレオポルド様! この前の資料とは私が整理した文書の事でしょうか?」

「緑のリボンがついた巻物でした ・・・小さなミスをするなんてグリフィス様らしくありませんね」

「レオポルド様が自らいらっしゃるなんて小さなミスではないようですが はあ・・・資料をもう一度確認してみます・・・・」



「じゃあねラウルさん また来るわ」

小声で別れを告げたメイリオナは 早々にこの場を立ち去った






-ランジエ家-

「お兄ちゃん帰ってきたの? プリンは?」

「ただいま・・・ プリンは広場で遊んでいたよ」

「よかった 無事だったんだ・・・」

「ランズミ そんなに心配しなくてもカスタードは賢い犬だから危ない事はしないよ」

「ワン!」

扉を器用に開け カスタードプリンが家に入ってくる

「おかえり・・・プリン」

「ほら いつも通りプリンは元気だよ」

「でもプリンは年寄りでしょう? この前メイお姉さんに聞いたんだけど 犬はそんなに長くは生きられないって・・」

「・・・・」

「人間みたいに長くは生きられないって・・・いくら賢くて優しい犬でも・・・だから私は出来るだけプリンと一緒にい長く生きたいの プリンは私のせいで遊びにいけないだろうけど・・・」

「ワン!」

「でもカスタードはランズミの薬の時間にはすぐ帰って来てくれるじゃないか カスタードは他の犬とは違う だからランズミの心配するような事は起らないよ」

「うん! プリンは他の犬とは違う! ・・・でもそれでも・・・ プリンが居なくなっちゃうって想像するだけで悲しすぎるから」

「そうだな・・・」

「・・・・でも お兄ちゃんも体に気をつけてね 私ね 実はプリンよりお兄ちゃんの方が何倍も心配なの」

「もう一度言うけど ランズミの心配してるような事は起らない だから不安に思わなくていいよ」

「お兄ちゃんを信じてるけど・・・でも・・・・  あ・・・そういえばメイお姉さんを見かけないの・・・この前きてから一度もみていない・・・」

「ランズミは心配性だな・・・ それも心配する事は無いと思うよ」

「でもメイお姉さん・・この前1週間何も食べずに実験とかして倒れたでしょ? 病気にでもなったらすぐ治療してあげないと 私みたいに毎日寝ているようだったら お姉さんがかわいそう」

(ランズミは心が弱いから いつも他人の事を心配するんだな 私が心配なのはランズミだけなのに・・・)

「ランズミがそこまで心配するんだったら メイリオナ様に丁度用があるから会いに行ってみるよ それなら心配ないだろう?」

「うん! お兄ちゃんと一緒にいたいけど メイお姉さんが心配だから・・・私にはプリンがいるから大丈夫 ありがとうお兄ちゃん」

「カスタード ランズミを頼んだぞ」

「ワン!!」

(いったんカフェの地下アジトに行ってみたほうがよさそうだ)



-ケルティカ地下アジト-

ep17.jpg


アジトに入ると 足元にガラスの破片が散らばっていた 何かが焦げた匂いや 怪しい光が見える

「うーん おかしいな このメイリオナ様の計算に間違いがあるはずが無いのに・・・」

「こんにちは・・・・何か忙しそうですね」

「助言者君~! あ~悔しくて死にそう! なんで結果がでないの~!!」

「略式ワープサポーターの改良ですか? ご報告した方がよさそうですので申し上げますが ナルビクへのワープには成功しましたよ」

「ほ・・ほんと?! ほんとにほんと? うわぁっ~すごーい! 一桁の確立を成功させるなんて 助言者君すごすぎ!」

「しかし予想以上にマナの消費量が多くて問題です これでは負担が大きすぎて活用度はかなり低くなるでしょうから」

「魔法精製石ならちょっと前にアカデミーに立ち寄って持ってきたよ~ どうせあそこは盛りだくさんだから 心配しなくていいよ!」

「ラウル様を味方にして下さったのはありがたい事ですが 万が一バレたらいろいろ煩わしい事が起るかもしれません 最近 魔法精製石と関連した様々なウワサが流れていますので メイリオナ様も警戒して下さい」

「ウワサ? 何のウワサ? ディルウィンもラウル君もそんな話はしてなかったけど?」

「ベケットさんが魔法精製石を貴族たちに売っているというウワサです」

「ええ~ あの善良なおじいさんにそんなウワサが? 本当理解できない そもそも魔石ってのがそんなに転がっているものなら あんなに高いはずないでしょ そんなウワサを立てるやつらは市場の法則も知らないようだね フンッ!」

「とにかくウワサが流れてる事は事実です 信じている人もいますから気をつけて下さい」

「心配ないよ~ 助言者君も心配性だね? アハハ このメイ様を信じなって そんなウワサが王城まで広がるはずないし もし広まったら小心者のラウル君が魔石を持っていかせる訳ないでしょ?」

「そうですか・・・」

「あ・・・!ベケットさんで思い出した!」

「?」

「この略式ワープサポーターの中枢部分 少し緩い所があって部品をひとつ追加しようと思ったんだ せっかく魔石を持ってきたんだけど 鉄鉱石が足りなくってさ~ ベケットさんが余りが出そうだからくれるって言ってんだ」

「鉄鉱石ですか」

「まさに人望が厚いとはこの事だね フフッ とにかくさ 私はまだ作業が残っているんだ 助言者君 私の代わりに取ってきてくれない?」

「わかりました 丁度ベケット様にウワサの確認をしてみようと思っていたところですので」

「やっぱり~このメイ様は人望が厚いね! みんな協力的だし 嬉しいね~♪」







-???-

ep18.jpg



「ベケットめ・・・どうして意地を張るのか分からん ヌフフ・・・まあどうでもいい じいさんがだめなら 孫でも締め上げて何としてでも情報を収集しろ!」

「はっ!」

「その為に傭兵をこれだけ雇ったんだからな ヌフフ・・・孫がケガをしたらいくらあのじいいさんでも間違いなく言うことを聞くはずだ」

「では さっそく・・・・」


『魔石ひとつ手に入れることが出来ぬのか? 無能な主人にあったな・・・残念である 実に残念』

「ヌフフ・・すぐにでも手に入れて見せるさ」

『質のよい魔石と結合すれば 我は北のウインターラーや南のミストラルブレードにも劣らぬ偉大な魔剣になれるのに・・・』

「冬の剣ウインターラー・・! 風の剣ミストラルブレード!・・偉大な魔剣・・・ヌフフ・・・ヌフフフ 本当だな? 一生に一度そんな偉大な魔剣を手に入れたかったんだ ヌフフ・・・」

『だがお前は我との出会いをお主は腐らせているのだよ 分かるか? 我は今すぐにでも偉大な魔剣になれるのに! 愚かな主人のせいで偉大な身を腐らせておるのだ!』

「少しだけ・・・少しだけ待て もうすぐだ・・・」

『真の魔剣として名を揚げられずにこのように放置されるのなら・・・砂の中で忘れつつあった頃と何ら変わりなし 魔石 エルカナン・・・まだなのか! それさえあれば・・・』

「お前の言うとおり数百年待ったなら これはとても短い期間だろう? ヌフフ・・・あのベケットのじじい絶対に魔石を扱えるだろうに素直に言うことを聞かないんだよ ヌフフ でももう時間の問題だ」

『我は偉大なる魔剣なり・・・真の偉大なる魔剣 大昔は確かにそうであった 我に強き魔力を与えよ 強大な魔力さえあれば我はおそらく・・・我は死んでおらぬ・・・再び蘇るのだ・・』



-ケルティカ市民街-

ep19.jpg


「元気か? ハッハッ・・・いつ見ても実に一生懸命だな 何かまた作る物があるのか? こんなに熱心に勉強するなんて見てるワシが嬉しいよ! どこかのアカデミー試験でも受けるつもりか?」

「そんなところですね・・・」
(ベケット様は私を魔法学院の学生と思ってるようだな 敢えて言う必要はないか・・・)

「ところで今日はなんの用だ?」

「今日は頼まれてきました 私の友達がベケット様に質のよい鉄鉱石をひとつ貰うことになってると聞きましたので」

「ハッハッ あの面白い娘か いつも目がきらきらしてて実に微笑ましいよ ハハッ 地方の武器職人に貰った鉄鉱石を娘にやる約束だったんだ」

「ところでベケット様 最近変なウワサの中心に立たれてるようですね 通りにいるだけで耳に入ってくるほどでした 被害はありませんでしたか?」

「ワシが魔法精製石を作っているとか 貴族に渡してるとかといったウワサか 呆れるよまったく ハッハッ ワシも放浪生活が長かったからな 魔石については少しは知識はあるつもりだが 専門的に勉強する学者達のように分かるはずなかろう」

「そうですよね」

「まさかこんな市民街の無知な人間に魔石を預けるか? 貴族たちもワシなんかより王立魔術師や隠遁魔法師に頼む事だろう」

「無意味なウワサに巻き込まれただけですよ しばらくすれば静かになるでしょう」

「ああ そうだな ウワサなんて関わらないのが一番だ ・・・ルイスのやつもそれを知るべきなんだが」

「ルイス様はベケット様を心配してるだけです 乱暴に見えますが そのウワサに腹を立てたのであって ベケット様を恨んでいるわけではありません」

「ハハッ ワシを慰めてくれるのか? 武器を作らないと決心してからもう随分と経つ こんなウワサくらい何でもない 息子は怒って出て行き 残ったのは孫だけだ いつかこの老いぼれを理解してくれればいいが」

「煩わしい目にあってまで その信念を守るのには特別な理由があるのですか?」

「信念か・・・そんな大げさなものではないが これまで多くの戦争があった ワシの作った武器のせいで多くの人の命を失ってしまった・・・ その罪を償うことはできんが こうして防具だけを作ることでワシの罪悪感も少しは減るのだよ」

「ベケット様は意思が堅く正直な方ですね しかし過ちを犯したのは政治家だけです 彼らが引き起こした混乱に巻き込まれて 人々は全てを失い苦痛に合いました 加えて罪悪感を持つ必要はありません」

「ハハッ そうかもしれないな しかし少なくとも自分自身がやってきた事から逃げてはだめだ 他人がやらせた事だろうと 意図が無かった事だろうと・・・それは重要ではない 自分自身がやったという事実には変わらないのだ 違うか?」

「はい 私はただ不必要な責任感を感じる必要はないと申し上げたかっただけです 苦痛の責任は職人達ではなく それを使って罪の無い人々を傷つけた指導者達に負わせなければなりません」

「ハッハッ 学生だからかね 随分話し方が上手いな ハハッ・・・ それより早く赤毛の娘にこれをもって行ってやりなさい 待っているかもしれんからな」

「ありがとうございます」

「そうだ ついでにこれを見てくれないか? 君は魔法学校の学生だよな どうもただの石には見えんのだが これはなんだろうか?

「!・・・・これをどこで手に入れたんですか?」

「ワシも貰ったのだよ 汚れていたし鉱石だと思ってたんだが どうも違うようなんだ」

「ベケット様 これはかなり質の良い魔石だと思われます 簡単に他人に渡す人がいるのですか? これこそウワサの種になりそうですが」

「うーむ そうなのか・・・ ワシも何が何だか・・・ いきなり渡されて分かる事があればなんでも教えてくれって言ってたよ てっきり鉱石だと思い軽く返事をしたんだが・・・」

「そうなのですか・・・」

「いや・・そういえば去り際に 魔法院やアカデミーがどうとかと言ってたような・・・・」

(何だと・・・魔法院・・・アカデミーに魔石・・・ メイリオナさまには話した方がよさそうだ 少し警戒すべきだろう)

「君にもわからないか? ふぅむ どうしたものか」

「力になれず申し訳ありません では私はこれで・・・」

(地下のアジトに行かなくては・・・)



-地下アジト-

「お 帰ってきたね~! 私もアカデミーに行ってきたんだ 助言者君 面白い話を聞いたよ~!」

「メイリオナ様 おっしゃっていた鉄鉱石です」

「よぉし!最後の材料で完璧になった! ・・・・これでサポーターの中心装置を補完できる そうすればあと1.2回は作動するはず・・・魔石もケチらず使ったしね」

「実際・・・浪費という気がしなくもないですが・・」

「何を言ってるの助言者君!弱気な事言わないでよ! 学者って言うのはたったひとつの欠陥を改善する為に 世界だって売り飛ばせる存在なんだよ! すなわちアカデミー十年分の魔石全部使っても装置がうまく作動すえばそれでいいの! フッ」

(それを浪費と言うんだけど・・・ はあ メイリオナ様にそういう事を理解させるより 私の方向感覚を育てる方が早そうだ)

「あ ところで助言者君が言ってたあのウワサ ちょっと似たようなことを聞いたよ ベルマフという人がさ 王室の方に手を打とうとしたとか何とか 本当に明白に・・狂っちまったようだね まったく王室を甘く見すぎだっつーの!」

(まさにその王室を崩しているという自覚はないのか・・ 一日に何度も出入りして魔法精製石を持ち出しているのも 学者を味方につけたのもメイリオナ様自信なのに・・・)

「ほんと何を考えているんだか!」

「・・・・とにかく 気を付けてください 用心するのに越したことはありませんから 無駄に疑われたら メイリオナ様も実験に集中出来なくなるでしょう」

「それはそうだね・・ うーん 分かった」

「あとランズミが心配しているので 時間が出来たら一度顔を出してやってください」

「うん? そう 分かった しかし助言者君の妹さんも本当に心配性だね? 私 生まれてから今までランズミ程の心配性は見たこと無いよ」

「ランズミは優しいから周りに人達にいちいち気を使ってしまうだけです」

「はいはい 分かった分かった まったく助言者君は妹さんの事になると必死なんだから いくら血縁と言ってもさ 本当に明白に不思議だよ うちは個人主義だからさ 自分の実験は自分でしよう! こんな雰囲気なんだよね~ フフフッ」

「メイリオナ様らしいですね」

「あ 血縁で思い出した ランケン兄さんが今エルティボにいるみたいよ この間手紙がきたんだ」

「そうですか・・・ 覚えておきます」

「さあ! じゃあランズミに会いに行かなくちゃ また後でね 助言者君!」

「はい ではまた後で 私も少し外にいますね」










-ケルティカ市民街-


市民街の外れ ルイスの背後から5つの怪しい影が近付いてくる

人目を憚らず 5つの影はルイスを囲みこむ

「・・・・・ルイス君か?」

一人の男が威圧的に話しかけた

「な・・・何だ?・・・俺に何のようだ? 真昼間から険しい顔で取り囲みやがって・・ 俺がビビるとでも思ってんのか!?」


異変に気付いたフルヴィオが 広場から駆け寄ってくる

「ル・・ルイスさん 大丈夫ですか? ルイスさん!」

傭兵の一人がルイスの背中を蹴り 隣の男も詰め寄ってくる

「く・・・くそ・・」

唯ならぬ雰囲気に フルヴィオが外に出てきたばかりのランジエに助けを求める

「ユスティン君! ルイスが危険なんです まったくあの傭兵達 ・・・本気ですよ!」


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(・・・他人の目は気にならないのか・・・こんなめちゃくちゃな行動をするとは・・)

「みんなよそ者みたいですし 人目も気にせず騒ぎを起こすなんて・・! 今カラスが警備兵達を呼びに行きましたが・・それまでどうすれば・・・」

(本当にベルマフ様が犯人なら何か理由があるとしか思えない 普段は弱気な騒動を起こすタイプの人だ 何かに取り付かれたようにこんな危ない方法を取るなんて・・・)

傭兵の一人がこちらに気付き フルヴィオに近寄ってくる

「・・!!」

「くそっ・・・ そっちは関係ないだろ!」

ランジエは銃を一丁取り出すと 体の後ろで逆手に構えた

(問題が大きくなる前に解決した方がいい フルヴィオ様がいるから警備隊には適当に言ってくださるだろう)

傭兵の一人が近付いてくるのを見計らい ランジエも歩み寄る

「お前ら何のようだ 痛い目に会いたく無ければさっさと消えるんだな」

「あなたたち この人に何か御用ですか?」

「そんな事関係ないだろう? お前らこそ・・・」

『ガッ!!』

話終える間もなく 近付いてきた男の腹に銃の持ち手の部分で突きを加える

「ぐはっ・・・!!」

「!!」
「!?」

男が崩れ去る瞬間 ランジエは既に近くの男に狙いを定めていた

「このやろう・・!」

刀に手を掛けるが それよりも早く男の頭を高く蹴り上げた

「・・・・っ!」

言葉も出ずに二人目が地面に横たわる


「・・・・邪魔するようだな・・・」

相手の力量を察した傭兵達は 武器を構え互いの間を計る

「・・・・・」

一瞬その場全員の動きが止まったが 数秒後には全員が動きを見せた

「うおー!」

男が大きく縦に刀を振り翳した

(振りが甘い・・!)

紙一重で刀を避け 隙が出来た胸へ蹴りを放つ

「ぐっ・・!」

怯んだのを見逃さず 身を翻し同じ箇所に回し蹴りを当てた

「ガハッ!」

「あと二人・・・」

「貴様・・!」

同時に二人の男が襲ってくる

「うぉぉ!」

大きく刀を振り回すが ランジエは全てを避け 男に足払いを掛ける

大きく倒れた男は一瞬何が起こったか分かっていない

もう一人の男がランジエの顔を目掛け一突きするが 寸前で交わされ

ぴたりと互いの動きが止まった

「・・・・・・・・・・ウッ」

「失敗した傭兵に報酬は出ませんよ このまま去っては如何ですか?」

ランジエが耳元で囁く 傭兵の太刀をかわしたと同時にランジエの銃が男の顎元には構えられていた

「ベルマフ様に義理を守る必要は無いでしょう? それともまだ続けますか?」

「クッ・・・くそ!」

続けて耳元で話しかける

「仲間を連れて立ち去りなさい これ以上は無駄です」

「チッ・・!」

(やっぱりベルマフ様の雇った傭兵だったか・・・ 名前を出した瞬間 顔に浮かんだ動揺は隠せなかったからな)



「ユスティン君! 大丈夫ですか!?」

「・・・・・」

「ユスティン君!」

「あ・・・はい大丈夫です・・・それよりルイス様は無事か心配です」
(・・そうだった 今はそんな名前を使っていたな 状況により名を変えてきたから 余裕が無いときは咄嗟に反応できなくなってしまう・・・)

「う・・うるさい!関係ねえだろ! 人を患者使いしやがって チェッ!」

「ルイス君 むちゃくちゃにやられておきながら強がらないで下さい 死ぬところだったんんですよ! 助けてくれた人の前で意地をはるつもりですか?」

「うるせえ! 助けてくれとでも悲鳴を上げたか?」

「ベケット様のウワサの為ですか?」

「ったくよ~ じじぃが魔石なんて精錬出きるはずねぇだろ!? どこかでどんどんそんなウワサがでかくなるし・・・あぁマジでじれったいぜ! まったく話の通じないじじぃだ 説明なんてまともにできないで なんでおればっか苦労しなくちゃいけないんだよ? こんなことだからおやじが出て行って連絡を絶ったのも理解できるぜ くそ!」

「・・・・・・」

「おれをぶん殴ったからって じじぃのとこへ行っておれがじじぃに謝ると思ったか? 笑わせるぜ どうせじじぃには出来ないこと してはいけない事を他人から言われてしてやるほど要領のいい人間じゃねぇよ!」

「・・・・やっぱりルイス様はベケット様を信じてらっしゃるのですね」

「だ・・誰が誰を信じるって!? ・・・い・・意味不明なこと言いやがって・・・」

「とにかく・・やっぱり魔石を必要としていたようですね あの人・・・」

「ベルマフ様ですか?」

「はい 先ほどの傭兵達 あちらこちらから集められたようですし 急だったから傭兵らは雇った人を誰かもまともに隠せなかったのでは?」

「そうですね」

「ちくしょう!ベルマフのやろう 本当に頭がイカレたんじゃねぇか? 人まで雇ってこんなことしやがって!」

「そうですね・・ベルマフさん・・・なぜだか分かりませんが判断力が鈍ったようですね 何だか取り付かれたように・・・色んなウワサまで広がってましたし・・」

「ほかにもウワサがあるのですか?」
(メイリオナ様の話どおりに王城に手を打とうとしたとか・・・?)

「ハーティーさんの所へ行ってみてください 私も詳しくは分からないんですが ちらっと聞いたことがあります」

「うぅ・・ちくしょう痛くて死にそうだぜ・・ 真昼間から善良な市民が殴られているのに あの大勢の警備隊員はどこにいったんだよ? こういうときに限って姿が見えないなんて くそ~」

「あ 遠くに見えてきました・・・もうじき到着しそうですね」


広場の方から慌てて二人の警備兵が駆けてくる 警備隊員のマレイとレイモンドのようだ


「ルイスさん! めちゃくちゃにされたそうですね? どういうことです?!」

「大丈夫でしたか?」

「終わってから来てどーすんだよ! これじゃ職務放棄なんじゃないのか?!」

「説明は私がしましょう 状況をよく話して差し上げませんと・・・ ユスティン君はハーティーさんの方に行ってみてください 王城の方で職務してますので」

そういってフルヴィオは王城の立ち入り許可証を渡してくれた

「ありがとうございます それではハーティー様の所へ行ってみます」










-ケルティカ王城 外門-


「こんにちは ハーティー様ですか?」

「こんにちは! 首都警備兵のハーティーです 王城警備の任務を引き受けています とは言うものの 実はやることがあまりないんですけどね・・・ヒマだな~外では色々なウワサが広がっているけど ここは何もないしなぁ」

「王城で勤務をなさっていると 外では聞けないウワサをたくさんご存知でしょうね」

「ああ そうさ! 今日も興味深い話を聞いたんだ 王室近衛兵の中にベルマフから金をもらって魔石を抜き取ろうしたがバレたやつがいるそうだ それで警備隊総出で大騒ぎになってるよ!」

「何やら大変な話ですね」

「しかもなベルマフってやつ そんな事をした理由が剣のためだっていうウワサだ 剣に惑わせられたなんて・・・笑えるだろ?」

「・・・・!」
(剣・・・・魔剣でも手に入れたのか!? それこそ伝説みたいな話だが・・・ 王室近衛隊が取調べをする前に会ってみたほうがよさそうだな・・)

「はぁ~ヒマだなぁ でも話し相手がいてよかったよ この時間は暇すぎて立つのはほんと嫌なんだよなぁ 君も色々と気を付けろよ~」

「はい では失礼します」









-ケルティカ武器屋 唯一無二-

ケルティカの商店筋に店を置く 武器屋 唯一無二

王室の武器類も扱い 品揃えも豊富 

店主のベルマフは武具には熱心だが 手に入れるためには手段も厭わず盗品も多い

人としての評判はあまり良くないようだ

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「まいど!いらっしゃいませ~ 良い武器がいっぱいですぞ~ ヌフフ」

(・・・ベルマフ様の隣にあるのは剣か? どうやら普通ではなさそうだな)

「わいの店では手に入らない物はありませんぞ! 世間では盗品と呼ばれる物もかるかもしれませんが 結局物が主人の所へ戻ってきただけなのですぞ ヌフフ」

「そちらにある素敵な剣も売り物ですか? ちょっと見せて頂けません? 魔法精製石まで必要とする剣がどんなものか すごく気になるんです」

「・・・・! け・・・剣は・・!!」

(あからさまに言ってみたが大当たりのようだな・・・ こんな見え見えの欲のために苦労することになるなんて ・・・ため息が出るな・・・)

「わ・・わいの剣! わいの魔剣!! これはわいの・・!」

突然剣が怪しく光りだしたかと思うと ベルマフがこちらに向けて走り抜けてくる

「・・!」

『ドン!』

ベルマフはランジエに体当たりをし そのまま店の外へ走り去っていく

「おっと・・・油断したな・・・ こうなった以上あの剣をちゃんと確認してみなければ! 店の外へいったが どこに向かったんだ・・」


-唯一無二 入り口前-


外に出ると 先程の傭兵が待ち構えていた

「待ちな! さっきの借りをかえさせてもらうぜ」

「・・・・こんにちは・・・初対面ではないので 改まって笑顔でお相手する必要はありませんよね? ここで手間取っている時間はないのです」

「フン! やってやる!」


一斉に傭兵達が襲ってくるが まるで赤子の手を捻るよう簡単に人が倒れていく

人数では勝っていても統制の無い様が 余計に戦力を分散させる

傭兵とは名ばかりで力量は低いものであった

「グハッ!」
「クッ!」

(この程度で傭兵か・・・ 急いでいたのか寄せ集めみたいなものだな・・・)

あっという間に4人の傭兵達は倒される ランジエも手を抜かなかったので傭兵は立ち上がる気力もなく地面に塞ぎこんでいた


「ベルマフ様はどこだ・・・ このままいくと歌う森の方か・・・?」

「・・・・・」




-歌う森-



「・・・姿は見えない・・・か」

そういいながら 地面の様子を探る

「折れた木・・・踏まれた草の後 まだ新しい・・・この奥か・・?風の森に向かった可能性が高いな・・・」


-風の森-

歌う森のさらに奥に広大な森が広がる 穏やかな森だが広大なこの土地に人が踏み込むことは少ない

森の奥に進むにつれ 僅かながら怪しい魔の雰囲気が漂ってくる


「うっすらだが 魔力を感じるな・・・ これを辿っていけば・・・・」


近付くにつれ 魔力の色が濃くなっていく

夕闇も近く 木々の影がだんだん小さくなっていくのが判ったが 一際大きな木立の影だけは大きく揺らめいていた

魔剣の光なのか 薄暗くなった森の中で明るくなった場所がある どうやらここが終着点のようである

何かにとりつかれた様なベルマフ そして隣では魔剣が怪しく光っていた

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「ウウ・・ウ 私の魔剣・・・魔剣・・・」

ぼんやりと剣が光りだす

「見つけた・・・ はあ・・・ ベルマフ様は現在自分がどのような状況にいらっしゃるかまだ分かってないです 私の目には剣のほうではなく あなた自身が剣の所有物に見えます」

「ウウ・・私の・・・ウウウ 魔剣の主人は・・!!」

「あなたの害になるだけです! 今からでも遅くはありません その剣から離れてください! ・・・これは忠告ではなく警告です」

「ウウッ・・・」

「その剣はあなたが思っているほど立派な魔剣ではありません 万が一立派な剣だとしても扱えない者には何の意味も無いでしょう?」

「・・・ウウ・・・ウウウ・・」

(・・・遅かったか 毒に犯されたような顔だ・・・)

ぼんやりと光っていた剣が 急に発光を止めた

「・・・ 魔石さえあれば それさえあれば 恐らく全ての物を 全てが順調に 漠然たる希望だけでも 魔石が ・・・・」

「何だ・・? 本当に剣が話しているのか?」


「私の剣だ!私の剣だ!私の剣だ!」

ベルマフが狂ったように叫びだす

「虚しい欲に駆られたのはベルマフ様だけではないようですね そちらの魔剣様 あなたに申し上げているのです 愚かな主人 愚かな欲望 問題がこんなに大きくなってしまって 虚しい夢は夢に過ぎないのに・・・」



魔剣とベルマフが声を揃わせた


『私の・・・』
「私の・・・」



急激に魔力が集中し 魔剣が強く大きな光を放ちだす

影が大きく動き まるで剣に羽が生えたように蠢きだした

「歪んだ欲のなれはて・・・でしょうか・・・」

『ィィィィィィ!』

魔力の集積する音なのか 甲高い金属音が辺りに響く

先に動きを見せたのは魔剣の方だった

柄の部分から影が広がり 黒く大きな翼を羽ばたかせる

『キイイィィィ!』

大きく大きく翼を広げ 影の限界を超えた左右の翼は空間に溶けていった 瞬間

「くっっ!!」

体中に強く重い風を受けたような感覚を覚える

(なんだ今のは・・・? どこも切れた感じはないが・・・ 重力の塊をぶつけられたような・・物理攻撃ではない 魔法の力か!?)

空中に浮かんだ魔剣は 先ほどよりも発光が薄くなっている

ふわふわと浮かび 次の攻撃に移る体制を整えているのか 動きは鈍くなったいた

「欲に狩られた魔剣か・・・何をされるか分からない 早めに決着をつけなければ!」

銃を取り出したランジエは狙いを刀に定め 試しに数発放つ

『ダダン!』
『ィィィィン!』

魔力に覆われた刀の刃は 確かな感覚はあったものの反応は薄い

「さすがに堅いか・・? 効いているのか分からないな・・・ こっちはどうだ・・!」

様子を見ながら 柄の部分に付いた石の部分を狙う

『ダン!』

が しかしこちらの動きを察してか 左右に揺らぎながら弾を避ける 

「避けたと言うことは・・・狙われたくないのか・・・」

『ィィィィィィ!』

大きな音を発した魔剣は またもや左右に影の翼を広げていく

「くっ・・・ あの攻撃は範囲が広い 避けれるか!?」

羽を大きく広げ空間に溶けていった瞬間 ランジエは素早く木の後ろに回りこみ防御の体制を取る

「・・・・くっ」

僅かながらに体に重みを感じたがダメージはない

「あの攻撃は正面だけのものか・・? 木々を利用すれば避けれそうだ・・・ ・・・何も無い場所で戦う事にならなくてよかった・・・」

攻撃が止むと木の間から身を出し 攻撃を放つ

『ダダン! ダダン!』

『ィィィィ!』

不意を衝かれたのか 今度は全弾が石の部分に当たる

「よし・・・!」

すかさず木の影から身を出したランジエは 一直線に魔剣に近付き駆け寄っていく

力を左手に集中さえ 短く詠唱する

「これは・・どうだ・・!」

近くの大きな岩を踏み台にして魔剣に向かって飛び掛かり

目前で魔力を開放した

「フリーズショット!」

魔剣を中心に大きな氷の塊を作り出す 

石の部分は凍りに覆われたが 一瞬にして塊は八方に飛散した

「!・・・魔力では ・・効き目がないか・・・!?」

『ィィィィ!!』

魔剣は空に向け上がって行く 高みまで来ると凄まじい速さで地面に向け落下してきた

「!!」

『ドォォーン!』

切っ先を地面に突き刺した瞬間 地面の下で爆発が起こる

着地した瞬間であったので体制は崩していたが 切っ先は紙一重で交わした

しかし 爆発による地面の動きには間に合わない 

「く・・っ!!」

砕けた石の破片が体中に飛び掛る

『ィィィ・・・』

地面からゆっくりと魔剣が空に向かって浮いていく

痛みを堪えながらも ランジエは魔剣に銃口を向ける

「マルチショット!」

『ダダダダン!』

複数の弾丸が魔剣に命中する だがダメージは少ない

「まだだ!・・・マルチショット!」

『ダダダン!』

再び複数の弾丸が魔剣に向けられた

ダメージは少ないが 広範囲の広げられた弾丸は魔剣のあちこちに当たり

動きを後ろへ後ろへと 誘っているようであった

続けて刀の部分に狙いを定め 何度が発砲する

『イィィィ』

雨のような弾丸に魔剣は空中に浮く上がる事が出来ず 低空で動きを揺らがせている

それでも尚 魔剣は魔力を蓄え次の攻撃に備えている

だが 次の機会が来ることはなかった

「はぁ・・はぁ・・・」

『ダン! ダン!』

後ろへ後ろへ押し進められた魔剣はいつのまにか大きな木の下に背後を向けていた

「・・・これならうまく飛び回ることはできないでしょう?」

魔剣は大きく影の翼を広げ出すが 落ち着いた様子でランジエが次のモーションに移行していた

「これで・・・! クレイジーショット!」

まるで舞うかのように二丁の銃から弾丸を繰り出し 狙いの全てを柄の石に向ける

『タン!タタン!ダダダン!』


『キィィィィィィ!!!・・・ィィィィ!』

6発の弾丸が全て命中した

石からは光が漏れ 魔力の力が外に溢れ出した

ランジエはくるくると片手で銃を回しながら 魔剣に話しかける

「夢を見るのは自由です・・・ しかし欲に駆られた夢などただの幻想です・・・・ 希望などを見出すことをしてはいけない」

回していた銃を止め 腕を伸ばし銃口を向け最後の1発を放った

「終わりです」

『ダン!』


『ィィ・・・・・ィィ・・・・』


微かな音が空に溶け込む 魔剣は翼を広げたまま空中できらきらと散っていく

「・・・ 魔石があれば ・・・ 再び ・・・ 明るい 空の 下・・・ 偉大な・・・ ・・・ ・・・・」

魔力の輝きは夕闇に綺麗な光を映し 幻想的に空に舞っていった 

きらきらと きらきらと空に向け上っていく光

その輝きの中の一つが 空ではなく地面にゆらりと落ちてきた





「・・・・? うん? ここはどこだ・・・ううん? わ・・・わいの魔剣は?! どこに!」

(芝居をしているようではない 本当に思い出せないようだな モンスターになったのは人ではなく 剣のほうだったか・・・)

ランジエは地面に落ちた輝きを手に取る

(紙切れ・・・? 破れているがこれは・・・ しかし変なことが二度起こった それは理由がある現象だろう この紙も保管しておくことにしよう)

「さ・・・さっきまでここにあった魔剣は何処に行ったか見ませんでしたかい? 確かにここにあったのに・・・でもわいはなんでこんなところに・・?」

「まったく思い出せませんか? ベルマフ様の持っていた魔剣に関すること・・・」

「うぬぅ ちょっと変な剣に惑わされて・・・いや 剣が喋るなんて初耳だが そんな声が聞こえて・・・ それで理性を失っていたっ・・ くそ・・・何がどうなってる?」 
 
「魔法精製石を手に入れようと血眼になってらっしゃったことも覚えていますか? 王室に手を打とうとしたこととか 傭兵を雇ったこととか」

「それさえあればすごい魔剣が改造出きるという気がしたんですぞ ・・・ぬぅ~ わいは本当に狂っていたのか? ただ古い剣に過ぎなかったのにどうしてそう思ったんだ?」

(単純に剣の誘惑に負けて魔法精製石を必要としたのか? はあ・・・そんなことで王室まで手出ししようとしたのか 困ったな・・・)

「何がどうなって・・・ぶつぶつ・・・」

(おかげで王室の誰かが魔法精製石の外部流失に気付いたようだし まだ予感に過ぎないがベケット様にエルカナンのかけらをあげた人も普通の人ではなさそうだな)

「ぶつぶつ・・・ 一体どうし・・・!!」

「あれは・・・!」

近付いてくる王室の近衛兵に ランジエは慌てて身を隠した

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「な・・何のようです? ちょ・・何をするんですか!」

「ベルマフさん 我々は王室近衛兵です 調査することがあるのでご同行下さい」

「いや・・・なんでこんな・・! ま・・まってくれ!」

近衛兵達は強制的に 嫌がるベルマフを街のほうへ連れて行った






(・・・・この紙切れ どうしても気になる この前は気に留めなかったが ゼリーキングの時に出てきた紙切れもある・・・ 非正常的な現象と一緒に現れるのは確かなようだが)

(そして魔法精製石の問題も・・・ メイリオナ様は大丈夫とおっしゃったがベルマフ様の問題で王室内の使用先を調査でもしたら気付く人が出てくるかもしれない)

(ベケット様のところへはまた行ってみることにしよう あの方に魔石を渡して情報を得ようとした人がまだ来ているかもしれない・・・・)




-ケルティカ市民街-

「そろそろ来ると思っていたぞ 聞いたところによるとルイスのやつはまたケンカをしてひどい目にあったようだし あのウワサはいつ収まるのか・・・」

「それならもう心配しなくていいでしょう ウワサというのは放っておけば消えるものですから」

「ハッハッ そうなればよいのだがな」

「それより魔石を預かっていた件はどうなりましたか? あんな高級品を何も言わず預けていく人がいるなんて・・・色々と気を使うでしょうね」

「あ・・・それなんだがあれからワシも少し調べてみたんだ どうやらかなり質のいいエルカナンみたいだな 渡してくれたのはすごいお金持ちのお嬢様のようだったよ」

「お嬢さん? 女性だったんですね?」

「この形状のエルカナンはどう考えてもワープ装置の部品のような物を作るのに使われるようだが・・・よほど勉強した科学者ではなければ触ることが出来ないみたいだ」

「・・・・」

「しかし やはり魔法精製石を扱えるのは高い水準の魔法師や科学者だけだ ワシらのような普通の人間は魔石を使うにしても 少量ではあまり役に立たない 燃料であれ簡単な製錬作業であれ大量に集めなければならないと言っていたな」

(・・・・正解だ しかしこの程度の情報だけでは王室の物が流出しているという事実は確信できないだろう そして目的も確実には分からないだろう それとも私が楽観的すぎるのか?)

「ワシもよくはわからんがな」

「私にもかわりませんが 勉強になりました お役に立てず申し訳ありません」

(とりあえずはメリオナ様の作業が終わったか確認しに行って見るか)




-カフェ地下アジト-


「助言者君~!! 助言者君 助言者君!あのさ~実験に大失敗してエルカナンがいくつかくず鉄の固まりになっちゃったよ!」

「・・・熱心に努力していらっしゃるということは分かってますが 魔石を浪費するほど余裕はないはずです メイリオナ様」

「あとは直すだけ~ 質の良いエルカナンが一袋あれば完璧!」

「・・・疑われる可能性があるから当分は気を付けてくれと申し上げたはずですが あちらの雰囲気も良くないようですし」

「あらら 私の心配をしてくれるの? オホホホ~ そんな心配は無用 学者として このメイ様は明白で完全な安全を追及してるからね 大丈夫大丈夫! 確実に!明白にね!」

(他の人たちには全然そういう風に見えないのですが・・・・)

「それにさ~どっちみちフォンティナ家のパーティーのおかげでみんな浮き立って誰も気にしないよ! 最近みんな退屈でたまらなかったけど小規模で簡単なパーティーとは言え あのフォンティナ家のお嬢様が久々に登場するらしいからね~」

「まあ あっちの雰囲気を見ておくのも悪くありません ただ出来るだけ疑われるような行動は避けてください 魔法精製石が流出しているということに気付いた人もいるかもしれませんから」

「大丈夫大丈夫!アカデミーへ行ったついでにラウルさんの仕事も手伝ってあげてるんだ ラウルさんも私もお互いハッピー! 助言者君はかわいい妹さんにでも会いにいきなよ 今頃心配で眠れなくなってるはず」

「・・・・ もう一度申し上げますが 出来るだけ目立つ行動は避けてください 魔石も出来るだけ目立たないように・・・ はあ とにかく私は一度家に戻りますね・・・」




-ランジエ家-

家に戻るとランズミと共に ギルデンスターンが待っていた

「ワン!」

「お兄ちゃん! よかったギルデンスターンのおにいさんの言うとおり お兄ちゃん無事に帰ってきた」

「何がそんなに忙しい? 忠実に使いから帰ってきたのに・・・ 両腕を広げて歓迎してくれないのは置いておくとして・・・」

「カスタードが熱烈に歓迎してくれているじゃないか  ・・・ランズミ 兄さんを心配する必要はないと言ったろう?」

「うん・・・私 いつもお兄ちゃんを信じているけど・・・それでも私心配なの ずっと悪い夢をみてるから・・・」

「ただの夢さ・・・ カスタードも心配するなって言っているだろう」

「ワンワン!」

「うん・・・そうだね 信じる・・・」

「この犬 何かますます人間らしくなるな・・・ 主人に似つつある」

「さぁ 心配する事はないから少しおやすみ・・・」

「うん・・・ そうする」

二人はランズミから少し離れ会話を続ける


「まあこの略式ワープサポーターは役に立ったよ メイリオナ嬢は大切なマナを一気に消費してしまったと私を責めたがな・・・」

「アハハ メイリオナ様らしいな 自分の実験のせいで魔石が足りなくなったのに 他人を責めるとは」

「はあ・・・・ ・・・それであの二人には直接会いに行くつもりなのか? 二人はエルティボ向かったが あの略式ワープサポーターは遠くてもまともに作動できると確信できるのか?」

「理論上は何の問題はないが」

「そうか・・・ ところでドクターヨハネスに会わなかったか? 私達のアジトでお前の顔を見かけないとおかんむりだったが」

「最近は会ってないが・・・ 分かったまた行って見なくては」

「ドクターヨハネスは貴族だ 彼がお前を密かに気に入らないと思っている態度の根源は 貴族としてコンプレックスなんかも作用しているのだろう」

「まるで自分は貴族じゃないかのように話すな? アハハ 私は大丈夫だから気を使うことはない」

「それならいいがね・・・じゃあ私はこれで 情報員を買って出た人に会いに行かなければならないから 先に失礼するよ」

「わかった 私もアジトに行くとするよ ・・・カスタード ランズミを頼んだよ」

「ワン!」


-ケルティカ地下アジト-

アジトに入るとメイリオナとドクターヨハネスがランジエを迎える

どうやらこちらを待っていたようだった

「報告を聞かせて貰おう 手がかりを探していたイウェリド・エタの第六巻はどうなった? ・・・まったく ネニャフルで課題提出を促していた時代に戻ったようだよ」

「こちらが手がかりとなる物です」

「・・・・・ こんな変な紙切れが収穫だと報告するつもりかね?助言者様」

「現状はこれだけになります」

「メイリオナ嬢と一緒にいじくっていたオモチャみたいなワープ装置はどうだ? 何か成果でもあったかね?」

「面目ありません」
「ふん!装置は立派に・・・」

ランジエはメイリオナの言葉を遮った

「え 助言者君・・・・?」

「世間では君に賢明という意味のトリビューンとニックネームを付けてはいるが こんなことではまるで純真無垢な少年のようだな 家が何軒も買える様な魔石を使っておいて 面目がありませんだとは ハハ 我々の賢明な助言者がこれでは困るね」

「じょ・・助言者君は!」

「申し訳ありません 期待にお応えできるよう努力します」

「まあいい ところで我々の助言者様のことだから 世間を騒がせているフォンティナ家のパーティーの話はご存知だろ?」

「・・・・」
(はあ・・・話が長くなりそうだな・・・まああまり関係ないか・・・)


「あ あ・・そうだ! あのさ~助言者君! そう言えば今あれを取りに行くところだったよね? ね? そうだよね~?」

「・・・?」

「ほら あれだよ!ベケット様の所へ行って新しい工具を貰って来るって言ったじゃん~ うん!」

「はい? あ・・・ベケット様ですか?」

「うんうん だからほら! 早くもって来て 早く!! 分かった?」

「あ・・・ああ それではお先に失礼します」

「うん お・・お願いするね!」

「・・・ふぅむ ところでメイリオナ嬢 君はメルカルトの名が恥ずかしくもないのかね?」

「はい?」

「一体いつまでこのママゴトみたいな実験に没頭しているつもりだ?」

「マ・・・ママゴト・・!? そんな・・・・・ わ 私も少し失礼しますわ・・・!」

メイリオナがそそくさとアジトから出て行く

「フン! まったく・・・・」






誰もいないのを見計らったように どこからともなく全身をローブを纏った男が現れドクターヨハネスに話かけた

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「・・・・・・・・・」

「エタは本ではない・・・ エタはとても小さい片鱗がちらばって主人を待っている どうだ? この情報をまだ利用するつもりがないのか?」

「・・・いいだろう ・・・取引することにしよう 情報の真偽よりもそれが利用する価値があるか無いか 私にはそれが重要だからな」

「どんな場合でも真の知識こそ力となるもの・・・数百数千の偽者とは比べ物にならない 知っていること それこそ人間の権力」

「フフフ あの不快な子供に世の中について少し学ばせてやらねばな・・・ 利用出来る物は利用してみせる」

「古代の力の実体を知るためにはエタを手に入れるのがもっとも早い道 だがイウェリドと言う者が自分勝手に翻訳したイウェリド・エタにかまけて・・・その翻訳本すら消えても必死に探し回る不必要な苦労をしているのではないかということだ」

「ほう・・・ それは影のイウェリド・エタ第六巻は翻訳した事が無いと言うことか 存在すらしないと? 面白い話だ 確かな情報なのか・・・」

「黒い預言者が崩壊した後 彼らが集めてきた情報を素早くもたらした人物は他でもないあなた達の助言者ではないか? ・・・だからイウェリド・エタに関してあなた達が持っている情報はみな彼の功績だ それを見ているつもりか? 執政の身でありながらあなたはただの付き添い役をしている」

「ああ・・・そうだ・・ だから分からせてやらねば あいつがいくら世俗を知っているように振舞っても 結局青二才に過ぎないという事実を・・・・フフ・・・」


ローブの男はいつのまにか闇の中に消えていた





-ケルティカ市民街-

(ふむ メイリオナ様は私を逃がそうと適当に言い訳したようだが・・・ そこまでする必要はないのに・・・)

用は無かったが 自然とランジエの足はベケットの防具屋に向かって歩んでいた


「お いいところへ来たな フルヴィオさんから君の事を聞いたよ 孫を助けてくれたらしいな 感謝するよ」

「あ・・・いえ お礼を言われるほどのことではありません」

「ところでどうしたんだ? またあの赤毛の娘がおつかいでも頼んだのか?」

「あ いえ 挨拶をしようと立ち寄りました」

「本当に君は心の優しい学生だな ・・・そうだ! あれがあった!」

「?」

「これを持っていってくれ レッドジェムエルカナンと言うらしい」

「これは・・・! 誰かが調べてくれと頼んだエルカナンではありませんか?」

「そうなんだが お嬢さんに返そうとしたらワシにくれたのだよ ハッハッ 情報提供の対価と言ってたかな? なんにせよ太っ腹なお嬢さんだよ」

(エルティボを往復に必要だったからちょうど良かった・・・ アジトにあった量とこれを加えれば・・・)

「何か使えそうな事があれば使ってくれ ワシには無用の物だからな」

「ありがとうございます」

(一旦アジトに戻ってワープ作動させる準備をするか・・・何よりも先生がさらに怒る前に戻ならければ メイリオナ様ひとりでは相手をするのも大変だろう・・・)







-カフェ地下アジト-

「戻りました・・・ ・・・メイリオナ様はどこかへ行かれたのですか?」

「ああ 先ほどね・・・ ・・・助言者さま イウェリド・エタに関することだが イウェリド・エタの第六巻は無いかもしれない しかしエタの第六巻は存在する と私は考えるのだよ」

「先生・・・今のお話はイウェリド・エタの第六巻を探す作業を中断しろと言うことですか?」

「存在しない可能性がある以上 早く諦めるのが身の為だ そうではないか?」

「納得出来ません 今まであらゆる手段を用いてイウェリド・エタの失われた第六巻について資料を集めてきましたが ご存知のように全ては不完全な片鱗でしかありませんでした しかし各々が正確な写本だと主張はしています 根拠はありませんが 本物でないなら全ての物は影に過ぎません」

「原書か・・・そうだな もともとエタは石版に書かれていたと言う話もある イウェリドがその翻訳書と共に石版を差し出したと しかしその石版が原書なのかどうかさえ判らないではないか」

「それなのに先生は その六番目のエタが最初から存在しないとおっしゃりたいのですか?」

「もちろん本物を手に入れ無い限り真偽を判断する方法はない」

「可能性・・・確かに存在しない可能性があることは認めます だとしても中断することは出来ません 私達はその力を手に入れるか 少なくとも所在と実体を把握しておく必要はあります」

「ああ その力について調べるのを中断しろと言うわけではない」

「おっしゃることは分かりますが どうしても唐突な感じがします」

「・・・美しい女性が抱く悪意のように 慈愛に満ち溢れた微笑に隠れた刃のように・・・ひっそりと 1枚1枚が隠されているだろう・・・」

「・・・・」

「我々の助言者様は賢いから 何度も言う必要はないですな? それでは私はこれで失礼する 良い知らせを期待しているよ」

そう言葉を残しドクターヨハネスはアジトを立ち去った


(イウェリド・エタとは エタという古代予言を適切な言語に訳したいわゆる翻訳書みたいなもの それを今翻訳書ではなく原書を追う方向に転換しろと言うことか・・・)

(まるで講義でも受けた気分だ あんなに頭の良い人だとは思わなかったのだが・・・ 仕方ない ・・・今は次へ進むしかないか・・・)




「・・・・よし 先ほどのエルカナンのおかげでマナは充分そうだ・・・」

「・・・研究三昧だな 賢明な助言者」

扉を開き階段を下りながら ギルデンスターンがこちらへ話しかけた

「会うと言っていた諜報員には会えたのか? 成果は?」

「まだだ ドメリン・カルツがナルビクに行って来たというウワサがあったから 確認の為にそっちの人間をひとり抱きこんだに過ぎん」

「それを成果と言うんじゃないか? とにかく 今からエルティボへ行って来るつもりだ 大魔法使いジュスピアンがエルティボにいるという情報があったんだ 今頃はもういないかもしれないが・・・確認する価値はある」

「ああ そうの情報か ・・・まあ可能性は高いだろう エルベリーク・ジュスピアンは元々レンム出身でもあるし昔の友人がエルティボに居住しているという話もあるからな シェニカ・クロウェンと結婚して影を潜める前までは出入りも頻繁だったと聞いている」

「そうらしな アノマラドではその方のそういう行動をひどく嫌っただろうが・・・ とにかくそこで何か小さな手がかりでも見つかったら言うことなしだ」

「・・・・ ・・・じゃあある人たちをどうしてもとエルティボへ送ったのは お前の苦労を減らすためだったのか?」

「さあ・・ 私はそんなにずるい人間にはなれない 考え方は自由だからな ・・・では戻ってきた時は一人じゃない予定だから その時はよろしく」

「毎回片付けばかり押し付けるんだな ・・メイリオナ嬢に会いに来たのだが またアカデミーへ行ってるのか? あ そうだ これを受け取ってくれ」

ギルデンスターンは金貨の入った袋を手渡した

「小遣いをもらった気分だ」

「トリビューンに提供される活動費だ ちゃんとした名前のある金だよ 他郷に出向くのだからもしもの時の備えに持っていけ」

「わかった じゃあ行ってくる」

アジトに設置したエルカナンが次々と反応の光を見せ 遠くの地へと彼を誘った

それと同時に入れ替わるかのようにメイリオナが地下へと降りてくる

「あら 彼の頼みでナルビクへ行ってきたと聞いていたのですが 思ったより早いお戻りですね こんな長距離を早く移動出来るようになったのも 古代の輸送装置やら何やら その原理を突き止めたおかげなのですか?」

「ああ・・ まあ私達の助言者は名前の通り懸命な人だから あの腐りきった王室の科学者達さえいなければ はじめから彼が直接腕を振るう事もなかっただろうに・・・」

「ところで助言者は? フォンティナ家のパーティーが目前なのに何処へ行かれたのでしょう? 彼が自ら動かなければならないようなことでも?」

「何も聞いていないようだな? 彼は今 誰かに会いに行ったところだ 今頃はー・・計画通りならエルティボに到着しているはずだ」

「エルティボ? まったく神出鬼没ですね」

「忙しい身だからな・・・ だが理解出来ないよ 彼が作った略式ワープサポーター もうあと1回ぐらいしか使えないそうじゃないか それなのにエルティボで誰かに会って 出来れば一緒に帰ってくると言っていた」

「ふむ・・・ 彼が帰ってきたら聞いてみましょう・・・  ・・・・ ・・・・・」

「・・・?」



「・・・・ああ! ・・・ムカツク! 窮屈で仕事が出来ないよー! こんな言葉遣い!! 私が魔法使いなら 広場にメテオストライクをぶち込んでるよ~! もどかしい!」

「・・・おいおい・・礼儀正しい言葉遣いをちょっと使ったぐらいで 暴走する魔法使いか? いい加減にしてくれよメイリオナ嬢・・・私達が壊そうとしてるのは王国であって世界ではないぞ ・・・はあ」

「言葉遣いのせいじゃないよ! ドクターヨハネス ネニャフルで講師の経歴があるくらいで偉そうにしやがって! かわいそうな助言者君・・・あんな人の機嫌なんて取らなくても良いのに・・・ワープサポーターの成功も言わないし・・」

「・・・考えるところがあるのだろう それよりメイリオナ嬢 ドクターヨハネスは名目上このクラブの顔じゃないか 彼が気に食わないのも分かるが そんな堂々とバカにする発言は慎んでくれ」

「ふんっ! 私はどうせ助言者君を支持してるんだからクラブなんて知ったこっちゃ無いね 私はね~助言者君が正しいと信じる理想なら きっと正しいと思ってここにいるんだよ!」

「・・はあ」

「ああー!ムカツク 何が先生だ 助言者君が頼んだらすぐにもで一番強い毒を作って片付けてやりたいくらいだよ!」

「・・・メイリオナ嬢がそんなことを言うと冗談に聞こえないから 本当にそれぐらいにしてくれ・・・」

「ムカツク!ムカツク! 完全 本当に 明白に 理論上反論の余地がないくらい ムカツク!! ううー! 先生なんか・・ しくしく・・・私の研究をバカにした・・ ママゴトだと言った・・・しくしく・・・」

「・・・・はあ・・ 結局そんな問題か・・・」

「しくしく・・・・」






-エルティボ-

エルティボはレンム王国に位置し レンムの首都でもある

酷寒の地であるにもかかわらず 海が凍らないことから多くの航海人が滞在する場所となり

ナルビクからの航路者も多く 遠い地ではあるが 首都同士の交流が大きく行われる街である 


ep114.jpg



「・・・・」

「・・・・・・・おっと ・・どうも着地はうまくいかないな バランス感覚をもう少し鍛えなきゃな・・・」

町外れの納屋に飛んだランジエは 室内であったがここがエルティボだと確信した

室内にいても伝わる氷ついた空気は その他の街では見られない厳しい気候をすぐに感じる事が出来たからだ

「・・・寒い ・・・コートを1枚もってきて正解だったな・・・ よし すぐにカーラ様に会ってみよう 時間が合えばいいのだが・・・」



-エルティボ雑貨店 雪時計-

店の扉が開いた 外は晴れてはいるが冷たい空気が室内に広がる

中に入ってきたのは青い髪の男と 銀髪の少女だった

「いらっしゃい」

「・・・失礼します カーラさんですか」

「え? ええ 私がこの店の主人カーラ 買い物に来たのなら品物を見ればいいことだけど 主人に興味を持つのは何か不純な理由があってのこと?」

「興味ないけど」

ぶっきらぼうに銀髪の少女が言葉を発する

「レイ・・・そんな風に言ったら相手が気まずくなるからだめだ」

「そう?・・・なぜ?」

「えーと・・・うーん」

「これ持ってきた」

少女はカーラに信書を手渡した

「これは・・・ し・・しかし助言者君はケルティカにいるはずだけど・・・? どうなっ・・・」

再び店の扉が開き ランジエがカーラの言葉を遮った

「正確に言うとケルティカにいる予定だったのですよ」

「!!」
「!」

突然の訪問者に3人は驚いた表情を見せた

「・・・・・」

青い髪の男は一瞬驚いたが 平静を装っているのか言葉は発しない

「はじめまして」

ランジエは一言挨拶をした

ep115.jpg
 

あの日の彼 ボリス・ジンネマンはランジエをしばらく見つめたまま 動こうとはしなかった

ランジエもまた動揺を押し殺しボリスを見つめる

滅びた少数民族の生き残りの少女 ナヤトレイは何があったのか分からない様子で ボリスとランジエの二人をきょろきょろと見交わす

其々の思いとは別に大きく前に進んで行く世界 不可解な現象の連続 イウェリド・エタの行方 

複雑に交差していく人々 知らないところで揺らめく動き

物語はまだ始りを見せただけだったのかもしれない

一面に広がる純白の雪のように純粋であったなら

誰にでも平等に降り積もる雪のようだったなら

世界はまた違っていたのかもしれなかった




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ローゼンバーグで活動中
かっこわるいボリスと
かっこいいランジエと
かわいいイソレットと
かわいげのないベンヤの
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