ランジェ日記 + !

ローゼンバーグで活動するランジエの日記  公式イラスト400枚以上収蔵 プチ情報や検証 ランジエチャプターを小説風に公開など 様々なコンテンツにも取り組んでおります

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EP2 チャプター3 Friend or Fiend

Chapter 3 Friend or Fiend







-???-



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『なぜだ なぜ彼らは完全な記憶を得る事が出来ないのか インフェイズフェノミノンの2番目の門は開いてしまったのに なぜ伝説は再来しないのか?』

『彼らはなぜ 今もなおその遥かな迷妄の中で彷徨うのか エタのかけらを押し出す方法しかないのか? 消失したデータを集めて分析する以外に手は無いというのか・・』

『・・・まったく同じ試行錯誤を繰り返すことは出来ない 全く同じ災いをこの地に起こすことは私達の救いの為・・・ 何百 何千 何万人の命を捧げても構わない』

『私達のエデルを救う事が出来るのなら 答えを得る事ができるのなら・・・』







-ケルティカ近郊-



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「あれ・・・ うーん やっぱり3人はちょっと無理だったかな・・・」

ワープサポーターで移動した3人は 見知らぬ森の中に到着した

「・・・ここが ケルティカ?」

「あ ナヤトレイ様 ここは近郊ですね」

「近郊?」

「恐らく風の森と言う所です ケルティカ近郊はわりと安全な方ですが ここに出没するモンスターは少し面倒ですので気を付けて下さい」

「あなたが言った目的地はここ?」

「いいえ 実は予定した場所より少し遠い所に到着してしまいました ちゃんと直したと思ったのに」

「・・・・・その目的地という所はここからどれくらいかかるのですか?」

「ジンネマン様が思っているより そう長くはかからないでしょう この森の奥に歌う森があり そこを横切れば広場に着きますから」

「広場?」

「はい 広場を通って 市民街の方へ行かなければならないんですよ」

「市民街・・・そんな所に隠れ家でもあるんですか?」

「お決まりの表現ですが そうとも言えますね とにかくカフェ付近に集合場所があるので そちらへ歩いて行こうと思います」

「歩いて?」

「はい 歩いて」

「・・・結構時間がかかりそうだな・・」

「ボリス ここ分かる?」

「うん・・・少しは」

「そう じゃあここに初めて来たのは私だけ」

「初めてって言いながら 先に進んでいくなよ レイ」

「そう? こんな所で迷ったりしない」

ナヤトレイを先頭に 3人は森を進んでいく 空は明るみじき夜が明けそうだだった






-ケルティカ ランジエ家-


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「あっ 助言者君~!! 帰ってきたね!」

「こんにちはメイリオナ様 それにギルも お二人ともこちらにいらっしゃったのですね」

「うんうん せっかくランズミに会いに来たんだけどさ~眠っちゃったみたい ギルを連れて来たからよかったものの 退屈で起こしちゃうとこだったよ!」

「参考までに 私は違うぞ」

「・・シッ お二人ともお静かに とにかく紹介したい方がいますので 一緒に来ていただけませんか?」

「それより伝えなければならない事がある 簡単な報告は後回しにして まずは先日協力を約束した情報員についてだが・・」

「ちょっとちょっと ギル~! 私からだよ~! 約束したでしょ 割り込み屋ギル!卑怯だぞ!」

「お願いですから静かにしてください メイリオナ様・・ 順序はどちらでもいいので」

「あのね あのね~助言者君 大変な事になったよ! 助言者君の言った通り急に魔石を手に入れるのが大変になったんだ! 安っちいエルカナンいくつかで何でケチをつけるのか理解できないよ!王室ともあろう場所が! ケチケチ!品位ってモンがないよ! エルカナンの数をいちいち気にするなんてさ!!」

「はあ・・ このままにしておくとキリがないから要約する 王室の魔石消耗に対する取締りが強化され しばらく横流しが無理と思われる 以上」

「勝手に要約するなー! そんな癖がついたら今度は他人の人生まで要約するつもりでしょ? 邪悪なギルだ~!」

「・・・あなたの人生なんて要約したくないね メイリオナ嬢」

「・・ギル お前が伝えなければならない事は何だ?」

「ああ カルツ商団がオルランヌ公女の誓約書を手に入れたそうだ それもカーディフの権力者であるカリーム・ハールーンとの誓約書だ すごい事だろ」

「ふむ・・・」

「内容が何であれ大波乱が起きるのは間違いない まずオルランヌ公女は失踪したという情報があったのに生きているという事 オルランヌ公爵も・・・ あぁ つまりはアノマラドで公爵位を授与した人のことだが とにかく悩みが多そうだ」

「オルランヌ大公のことか? ・・・とにかくしばらく留守にしていた間に興味深い情報が入ってきたな・・・ 情報ありがとう」 

「二人とも無視するな!! まったく助言者君までギル色に染まった・・ぐすん・・・」

「ではお二人とも地下室に戻りましょう お客様をいつまでも待たせて置くわけにはいけませんから」

「聞いてないようだぞ メイリオナ嬢 ランズミ嬢が目を覚ます前に早く出よう」

「うう・・・ひどいよ助言者様・・・ぐすん・・・」







-ケルティカ アジト-

地下室では ボリスとレイが話をしていた


「・・・とにかく レイ 本当に決めたのか?変わる可能性は全くない?」

「何? ボリスずっと変」

「よく知った仲でもないのに完全に信頼するのは無理だ レイは昔は警戒心の強い人だったけど 今は態度が違うじゃないか」

「・・・そう? 理解できない」

「だから・・・気を付けたほうがいいって事だよ」

「よく知った仲じゃないから? ・・・でも知ってるでしょう?」

「うん?」

「ボリスは知っているでしょう?」

「あの・・・ それは・・」

会話の途中ランジエを先頭にギルデンスターンとメイリオナが後から階段を下りてくる


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「・・・遅れて申し訳ありません とりあえずは紹介をする事にしま・・・」

「誰かを連れてくるとは聞いていたが本当に来るとは思わなかったよ 前もって言われてなかったし・・随分急だな」

「うんうん すごく急だね助言者君 まるで隠し子を家族に紹介してくれるみたいじゃない?」

「メイリオナ嬢 それはちょっと相応しくない例えのようだが」

「とにかくお二人さま お会いできて光栄です 私の名前はメイリオ・・」

「しかしメイリオナ嬢 こんなに簡単に信じてもいいのか?」

「うーん・・・そうね 簡単に信じたら見くびられるね それより風の森から歩いて来たと言いましたっけ? ワープがなんで風の森になったのでしょう? 誤差がそんなにたくさん出るのは初めてって・・・・」

「・・・?」

「あああああ 大人しいしゃべり方ってめちゃくちゃ難しいいい! や~めた! もういつも通りでいいや 助言者君! とにかくさワープがなんでそんな事になったの? 壊れたとか?」

「さあ どうでしょうか」

「あ~ずるい! 情報は共有しなくちゃ!」

「何よりその略式サポーターというのは正確に1回分くらいしか使えないと言わなかったか? どうやってあと二人も連れて帰ってきたか気になるな」

「その事については私にも正確には分からない」

「正確にってことは・・推測出来ないわけではなさそうだな」

「ずるい奴・・・ とにかく! 私は助言者君の連れてきた二人だけど 簡単に信じてやる事は出来ないよ だからテストをしたいんだ 公式な過程を経てこそ同志達にも偉そう・・ いや 堂々としていられる!」

「メイリオナ嬢 一応助言者君の立場もあるから そんな風に言うのは・・・」

「そう? でも助言者君 君もあの人達をよく知っているわけではないんでしょう?」

「あ・・私ですか? もちろんよく知った仲ではないので やはり完全に信頼するのは無理でしょう」

「よしよし じゃあ助言者君の許可も貰った事だし もう遠慮する事はないよね? テストだよ! あ~ワクワクする!」

「ちょ・・ちょっと・・ 本当にやらせるつもりか? 一体何のテストなんだ・・・」

「さあ それではテスト開始~!!」

「はあ・・・本気でするのか・・」

「ここを出ると近くにジーナって女の子がいるから その子にメイリオナ嬢の頼みで通りの見物をしてるって言えば次に行く場所を教えてくれるよ 5歳のちびっ子だってママのお使いくらいはできるんだ まさか助言者君が自らお連れした方々がこの程度のこと出来ないわけないよね? ウフフッ」

「テストですか・・・ レイ 本当に行くのか?」

「うん・・・ ジーナ 分かった」

「レイ・・・」



メイリオナのペースに巻き込まれ ボリスとレイの二人はテストを受けに外へ出て行った



「一体何を考えてるんだ? お前を疑う訳ではないが 信用できる人間なのか?」

「信用出来るかどうかは分からないが 少なくとも必要な人間だ 他の理由が必要か?」

「はあ 仕方ないようだな まずは二人のテストが終わるのを待つか・・」

「私は行く所があるのでここを出る事にする また後で話をしよう」






-カモミールカフェ前の通り-

アジトを出ると カフェの通りでフルヴィオ カラス ルイスの3人がランジエを呼び止めた

「ユスティン君 久しぶりですね この前のケガ大丈夫ですか? ルイスさんの事で大変な事があったじゃないですか あの時はどれほど驚いたか」

「うん? フルヴィオ何かあったの? まったくルイスさんったら 危ない事ばかり起こさないでよね!」

「あ なんでオレなんだよ? 何もなかったよ! チェッ・・・」

「ああ・・・ はい 特に何も無かったですよカラス様」

「それならばいいんだけど・・・」

「チェッ・・ とにかくそちらさんには世話になったな まあ あとで必ずお返しするよ 機会があればな」

「大丈夫ですよ あくまで偶然の事故でしたから それでは私はこれで・・・」

「あぁ ユスティン君 少しいいですか? この前頼まれていたことで・・・」



二人はルイスとカラスを置いて 離れた場所へ向かった

「フルヴィオ様 この前と言うと神の武具を守護する生存者がいる・・・というお話でしょうか?」

「はい しかし伝説として扱う人がほとんどですので 正確な情報と見るのには無理がありそうです ウワサは多いですが実際は関連した記録が全て抜け落ちているようで・・」

「そうですか・・・」

(特定の人々が関する記録と記憶が蒸発していることと 苗族の生存者についての記録が消えたと言う事・・・)

(やはり彼女が苗族の生存者という可能性が高い 彼女が守っている神の武具はアーティファクトであるはずだし・・)

「あ 苗族に関してはこんな話がありますよ 苗族の引導者が持った神秘のアイテムがあれば守護者を見分ける事が出来る・・という話 面白いでしょう? 事実ならば多くの人々が苗族の宝を見つけ出そうとした事も理解できます」

(苗族の引導者がナヤトレイ様ならば あの方のアーティファクトこそまさに神秘な物なのだろう アーティファクトが他のアーティファクトを見分ける・・・といえば話はもっともらしくなる)


「お調べして下さりありがとうございます お手数をお掛けしてしまって申し訳ありませんでした」

「いいえ 日常に支障をきたすほどの時間を割いた訳ではありませんでしたし・・それに私も彼らに非常に興味がありますので」

「うーん・・ そしてこれは別の話ですが・・・ワープ装置の構造やあるいはその装置について興味を持つ方をご存知でしょうか?」

「ワープ装置? そうですね・・ でしたらベアトリックスさんに会って見るのはいかがでしょうか? マジックテレポートサービスの職員ですので 色々と詳しいかもしれません」

「なるほど 助言ありがとうございます では行ってみます」






-ケルティカ 広場-



「こんにちは 少しお伺いしたい事があるのですが 宜しいですか?」


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「はい? もしかして学生さんですか?」

「ええ とりあえずは・・・ テレポートサービスで使用する ワープ装置に使われる魔石の種類が何なのかご存知でしょうか?」

「そうか~ やっぱり課題みたいなものだったんですね ホホ どうりで~! 前にも目立つお嬢さんが魔石に使われたとかどうかとか聞いてきたので~ 本当みんな熱心ですね~!」

「・・! ・・・その時は何と答えて差し上げたんですか?」

「うーん 役に立つかは分かりませんが・・・ 残念ながら私どものワープ装置に使われる魔石は種類が多いのですが 内側に隠されていて取り外さなければ確認は出来ないんですよ それに私は専門化ではなく運用のサポーターですから」

「そうですか・・」

「教育を受けた時に聞いた話では 魔石が簡単に現れる構造だと破損の危険も多いからこのように作るそうです それに魔石ってかなり高いそうですね? だから盗難の危険が無いようにかくしてるのだとか」

「確かに目に付き難いほうが盗難の恐れは減りますね」

「あ それからこのテレポートサービスなどではあまり魔石は使いません ご存知かもしれませんがテレポートは単純に装置だけ使うのではなく スクロールやバインドストーン等の補助道具を使って成り立つサービスですから 魔石は高いうえマナを消耗することになりますから それを使っていては採算が合わないんですよ 高級な魔石は殆ど王室に入りますし・・・」

「大勢の方が利用されますし・・・ 消耗の多いものはやはり使いにくいのですね」

「その代わりに決まった場所と距離しかサービスできません 私のようにサポートする人も必要ですので・・ しかしこのテレポートサポートはメルカルト家の科学者様が直接改造をして下さったそうで 私どもの大きな自慢です!」

(メルカルト・ランケン様の事だろう メイリオナ様の話通りなら現在はケルティカにはいらっしゃらないようだが・・ 帰って来ただろうか・・・?)

「とにかく!詳しい技術的な部分になると私も明確に説明できませんね おそらく専門的に勉強する方々ではなければ誰でもそうだと思います」

「はい お話ありがとうございました」

「じゃあ学生さん 頑張って下さいね そうだ よかったらこれどうぞ 貰い物ですが私は甘い物は苦手でして・・・」

「クッキーですか? ありがとうございます」

「いえいえ では勉強頑張って下さいね~!」

(お菓子か 甘い香りがする・・・ ランズミが喜びそうだ)





-ランジエ家-


「お兄ちゃん! お帰りなさい よかった・・・ちょっと前に悪い夢を見て嫌な気分だったの」

「ランズミ この前も話したが悪い夢はただの夢でしかない 現実と夢は反対と言う事もあるだろう?」

「でも・・・でも いい夢もたまに見るわ 本当に全ての夢と現実が反対なの? お兄ちゃん それじゃあ・・ダメなのに・・ぐすん」

「いい夢は予知夢と思えばいいだろう?」

「そうなの・・? うんっ そうだね お兄ちゃんは頭が良いもんね だからお兄ちゃんの言うとおりだよね」

「はい これはランズミにプレゼント」

「わぁ・・ でもふたつも食べれない だからひとつはお兄ちゃんが食べて お兄ちゃん甘い物好きでしょう」

「そうか ありがとう」

「あ プリンにも分けてあげないと ちょっとまって プリン 私のお菓子半分あげる」

「カスタードにお菓子をあげるのか?」

「うん ダメ?」

「犬がお菓子を食べるなんて聞いたことないけど」

「ワン~~!!」

「ほら見て プリンは食べられると言ってるでしょ? やっぱり プリンは普通の犬じゃないんだわ」

「本当にそうならお兄ちゃんのを分けてあげればいいから ランズミは上げる必要はないよ 育ち盛りの女の子は食べるとすくすく育つんだって」

「そうなの? うーん・・お兄ちゃんの言う事だからきっとただしいよね お兄ちゃんは頭がいいから」

「カスタード こっちに来い」

「・・ワン!」

「わ~ プリンよく食べるのね~ よかった もしかしたら食べないかもって心配してたんだ」

「ワン!」

(・・・食べるだけ食べたら さっさと出て言っちゃった せっかくのお菓子を半分上げたのにひどいじゃないか)

「家を留守にしてごめんな ランズミ 薬を飲む時間 忘れないようにな」

「うん お兄ちゃん私は心配しなくても大丈夫 プリンがすぐ戻ってきて・・・くれる・・ はずだから・・ふわぁ・・・ 眠い・・・・」

(あっという間に眠ってしまった・・・ 本当ならずっとそばにいてあげたいが それは出来ないから・・・)

(今はやるべきことがある 早く動かなければならない 銀行へ向かうか・・・ 約束の時間はもうすぐだ・・・)






ケルティカ銀行 2階-


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「ふぅむ ・・・その情報は確かなのか? 彼らがアーティファクトを通じてエデルを顕現させようとしていることは知っていたが・・・」

「黒い預言者たちが処断しようとした審判者はエデルを顕現させられると同時にその反対の力を持つ事ができると言う意味だ」

「反対の力?」

「ガナポリーの栄光と彼らの災いは古代の力をどれだけ理解し どのように使うかによる結果だった ・・・強大な力をどのような方向に使うかによってその波及力は異なるはず・・・ それが本当に分からないと言うのか? そのような力が他の誰かの手に渡っても構わないと言うのか?」

「他の手に渡るのは困る・・・」

「事実なのか分からない記録にのみ頼ったり ありもしない翻訳本に縛られて主体を混同するような愚を犯さないで欲しいものだ あなたには才能を持った者がいるではないか? 大意を成す為には自分の下にいる者をいかに使うかも重要なものだ」

「・・使う・・・か・・・あの不快な子供にぴったりの言葉だ 気に入った」

「ある事件の中心となる主体はひとつだけだ それを覚えておくように・・・・」



人の気配を感じたのか ローブの男は言葉を残し闇に消えた




「すみません お待たせしたようでしょうか? 声が聞こえましたが・・・誰かここに?」

「・・・・ ・・・・ いや・・・ それより話しておきたいことが・・・」

「?」

「エタがもたらす世界への影響についてだ 我々はエタの力について何も知らない 仮に手に入れたとするとどう扱っていく? 保持するだけは意味が無いであろう?」

「・・・おっしゃられているのは エタの破壊的な力についての調査を進行せよという意味でしょうか?」

「チッチッ そんな偏狭な考えでどうする? 単純に危険だと考えるのはやめろ 大きな力には両面性が存在するという意味だ 光あれば影があるもの・・と決まっているように」

「危険要素があるという事は既に黒い預言者という組織が破壊された時から予測していたじゃないですか? 敢えて今になってその実態を強調される理由が分かりません それに私達はその力を通じて果たすべき目標が・・・」

「だからさらに気を付けようということだ その力がとんでもない所に渡らないようにな みんなの国は言葉通りみんなの場所であって 特定の人間の為のものではないのだから 違うかね 助言者君?」

「・・・・・」

(力を狙う物達が多いという事 だから危険だという事は今更言わなくてもみんな知っているのに・・・)

(それなのに力自体についての両面性を強調しながら 敢えてとんでもない所と言及する理由はなんだろう?)

(他の誰かがこの力に関心を持っているのか 何か知っている事でもあるのだろうか? ・・・聞いたところで教えては下さらないだろうが・・)

「いやぁ 利口な助言者様に私があまりにもつまならい忠告をしたようだ 非常に迷惑そうな表情だが・・まったく 助言者様が怖くて今後何も言えそうに無いな」

「・・・」

「それはともかく 最近は何をしているのかね? 公爵令嬢を調査するとナルビクに訪れたことまではまだしも エルティボにまで行って来た事は理解が出来なくてね」

「役立つ方々を連れてきました」

「方々? 一人ではないのか?」

「二人です 今はメイリオナ様が人物把握の為にテストをしていらっしゃいます その後でご紹介してもよいと思い 先生に直接挨拶をするほど重要な人物でもありませんのでお話はしませんでした」

「あまり簡単に人を信じるな かなり慎重な人間かと思ったのに 意外に不用心だな ここはサークルではないのだぞ まぁ慎重なのかずる賢いのか分からない時の方が多いがな」

「・・・・」

「メイリオナ嬢がテストをしているという事は ギルデンスターン君ももう会ったのだろう 力を合わせるのはいいが個人の考えで判断した人間をいれるのは慎むように」

「・・・ さらに詳しい調査と円滑な動きを確保する為に 身分の知られていない人間が必要だっただけです 完全な信頼というのは一緒に協力してみなければ得られませんから」

「チッ 人間という存在はそんなに簡単に信じられないものなのだ 利口な助言者はよく理解していると信じているよ・・・ では私はこれで失礼する」


(ふぅ この状況で公爵のパーティーに連れて行く二人の身分証を作ってくれというのは不可能だろうな ・・・直接用意するしかなさそうだ)

(むやみに動いたらかえって事を台無しにしうるから慎重に行動しよう まずはメイリオナ様とラウル様にお会いして話をしてみたそうがよさそうだ)

(・・・王城の方へ行って会うことにしていたから 学生らしく変装しておくか・・・)






-ケルティカ 王城内-


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「だ~か~ら~ あんまり怖がるなってラウルさん! 大丈夫 大丈夫!! 何も起きないって! 王室取締りがちょっと強化されたからってそんなにびびっちゃって・・・」

「ちょ ・・ちょっと? ちょっとどころじゃないでしょう! メイリオナ様! こ・・公式には発表されてないが・・ ベルマフという武器商人が実際に魔石を手に入れようとして 明らかになっていたじゃないか!」

「ま~ そんな事もあったけどさぁ~」

「きっと王室でもっと ちょ・・調査するに違いない! そうしたらきっと私が使った魔石と提供された量が違う事がバレて・・ そうなったら・・」

「ラウルさん! 落ち着いてよ! 本当に何も起きないからさ!  もう~ムカツク! エルカナン数個で何が問題なのさ! 完全に 本当に 明白にムカツク!」

「・・・ メイリオナ様・・・ 本当に気を付けてください どうやら王室と関係のある人の中に魔石に関心を持っている人がいるようですから」

「何? 王室と関係って・・・ って 貴族じゃない!? どうして貴族がそんなことに興味を持つわけ? 欲しけりゃいつでも手に入るじゃん!」

「とにかく当分は魔石を使わない方向で行動しなければならないようです 行動に多少の制約がかかっても・・ね」

(単純に魔石を所有したくてそのような行動を取ったとは思えないが・・ おそらく特定の魔石のみが流失しているという事実に気付いて調査しているのだろう)

「・・・ こんなの ムカツクよ!」

「うう このままバレたら・・そうしたら私は 追い出され・・うう ぶつぶつ ・・しくしく」

「それより あの方々はどうなりました?」

「あ! そうだった! エヘヘ~ 二人とも本当にかっこいいやつらだね? メイリオナの試練を と~っても立派にクリアしたんだよ テスト中の行動もすばらしくて気に入ったよ!」

「よかった・・ 試練を無事にパスしたのですね」

「ああぁ そうなると・・ ぶつぶつ 私はアカデミーを・・・ ううぅ・・・」

「もう! ラウルさんったら! 本当に大丈夫だって~ 何も起きないから~」

「ぶつぶつ・・・うう・・・ 追い出されたらどうすればいいんだ・・ ぶつぶつ」

「そうだ 急に思い出したんだけどね助言者君 エルティボでランケン兄さんには会ったの?」

「あ いえ そんな余裕はありませんでした」

「ふぅん また一体どこに引きこもってるんだ 報告や何やらで来る頃なのに 本当に来るの? ずっと前に一度だけ私に手紙が来たのだけど その時は助言者に会いに行かなければって書いてあったんだ それが時期的にちょうど今頃のはずなんだけど・・・ あの実験バカめ!」

(・・・ランケン様はメイリオナ様のいとこと言ったな 少なくとも本当によく似た親戚のようだ・・・)

「ランケン兄さんがする実験はこのメイ様も興味があるんだ なのにランケン兄さんの報告書はアカデミーにないんだよ 後援者の書庫へそのまま持って行っちゃうみたい 私の話 どういうことだか分かる? 助言者君」

「はい」

「ウフフフフ~♪ さすが助言者君だね! 私 賢い人ってほんと好きだよ~! あ 連れてきた人達だけどさ 夜に地下室でまた会うことにしたよ」

「夜ですね」

「ギルのやつもその頃には帰ってくるだろうし 私も時間を合わせて行くつもり ちょっとラウルさんを慰めなければならないからね チェッ ラウル君も大人のくせに小心者すぎるのが欠点だよ!」

「分かりました ではまた後ほどお会いしましょう」

「うん またね~」







-ケルティカ 地下アジト-







「エへヘ 二人とも理解してよ~ 公平じゃ無いといけないから 他の人たちの場合と同じようにテストしただけだよ~ 分かってくれるよね?」

「気に入らないが助言者様がわざわざ連れてきた人たちだから・・・仕方ない」


「これでテストは終わりなのね じゃあ何をすればいい ランジエ」

「!」
「え・・・! 助言者君 名を明かしたの?」


「あ・・・うん 事情があって 隠す意味も無かったですし」

「そうなんだ・・でも・・・」

「この前言っていたカルツ商団の情報に関する調査の件 この二人に任せればいいから 丁度よかったんじゃないか? ギル」

「おいおい・・・ お前そんな話までしていいのか・・・?」

「お前も私も動きやすい立場ではないと言ってたじゃないか 身分の知られていない人間がいるなら 私達の利益となる お前が今すぐ完全に信頼できる人間を連れてくるというなら別だが」

「だからと言って・・・」

「話を割ってすいませんが カルツ商団の情報というのは どのような案件か聞いても宜しいでしょうか?」

「助言者君が疑わない人なら 私も疑わないよ 無事テストも終えたしいいんじゃないの?」

「それじゃあこちらはお願いしますね メイリオナ様 私は別で動かなければならないので」

「おい~ お前・・・!」


(パーティーに行く身分証を作っておかなければ・・・名簿はあらかじめ適当に送っておいたが・・・ いくら招かれたとはいえいちいち身分証を確認するだろうから・・)

(時間が無いから あちらの方々と話を通すしかない 彼らと今すぐ連絡を取るにはセラフィス様にお願いするのが一番早いかな・・)






-ケルティカ 病院-


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「セラフィス様 フルヴィオ様 すみませんお時間を頂いてしまって」

「いえ・・・ そうだ ユスティン君 レオポルド様についていくつか情報があるのでお伝えしておきますね」

「はい」

「彼 レオポルド・ヒース・マルシュナーは元々ティアの調査官出身で アンリチェ様の目に留まって臣下になったそうです 王妃殿下の絶対的な信任を得ていて 事実上は王妃殿下直属の騎士と変わらないそうです 地位は・・・大体 近衛隊長級と言ったところでしょうか」

「まだ若いのにすごい出世としか言い用がありませんね ティアの調査官といえば平民だったろうに 現在ではアノマラドの中心で王妃殿下の騎士・・・」

「近衛隊の中でも信頼が厚いようです 寡黙で不必要はせずいつも冷静で迅速な仕事をすると・・・そういえばあの方 最近消息を聞きませんね 他の任務でも受けたのだろうか?」

「まぁ・・ユスティン君はよくご存知でしょう あんなこともありましたし・・・ね あちらの方々とは・・・」

「・・・・ええ あの時はありがとうございました フルヴィオ様」

「感謝されるような事でもありません あちらの方々とはとりあえず政治犯でしょう? 彼らが近衛隊に捕まりでもしたら あとで罪の無い人が巻き込まれるのが目に見えています あの方・・・レオポルド様の処理は本当に迅速なんです 前にカラスの隣に住んでいた人も一人処刑されたことがあったので 私もよく知っています」

「・・・・」

(そんな方を送りミレイユ様の状況を把握してエルベリーク様の位置を確認しようとしたのか・・・ やはりアンリチェ王妃は何かもっと知っている事がありそうだ・・)

「王妃殿下は何しろ女傑ですからね ご結婚される前から様々な情報や人才を集めていたようです ある公爵家の書斎には消失したガナポリーの記録すらあるかもしれないというウワサが流れるくらいです こんな話 明るいところでは大っぴらに話せませんがね ハハ」

「あ それよりセラフィス様に相談があったのではなかったですか? ユスティン君」

「はい・・・実は困った立場に置かれた友人がいまして 身分証を手に入れようと思ったのですが」

「ああ その事ですね ハハ 困った境遇の友達放っておくのはいけませんね ええと・・彼らにお願いすればすぐ用意は出来ますが 少し危険が伴いますので・・・」

「その問題ならご心配なく もしかしたら役に立つと思いまして これをご用意しています これなら顔や素性を知られる事はないですからね」


「これは・・・王室近衛隊の制服ですか・・・ ありがとうございますフルヴィオ様 またお世話になってしまいましたね」

「これくらいは大丈夫ですよ バレなければ・・・アハハ」

(バレなければ・・・か)

「フルヴィオさん すごいですね 一体こんな物どこで手に入れたのですか? 驚きました」

「ただ洗濯担当の方と少し知り合いなので 休暇に行った近衛兵の分をしばらく借りただけなんですよ」

「いやぁ さすが! フルヴィオさんは本当に人望が厚いですね ハハハ」

(・・・役に立つ方々だ・・・本当に・・・ 敵に回さないようにしよう)

「ではセラフィス様 さっそくですが その方々にお会いしたいのですが どこに行けば宜しいですか?」

「そうですね 夜でしたらすぐに彼らに会うことが出来るでしょう パレザノの岸の奥に行けばその人々に会えるはずです」

「パレザノの岸・・・ 分かりました 助けて下さってありがとうございます それでは・・・」








-王城内部-



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「わぁ~! じゃあエタはイウェリド様が書いた ただの小説みたいな物ではないんですか? ヨハネス様は勉強熱心な先生ですから 面白い話をよくご存知ですね~!」

「おやおや ロリア譲も愉快な冗談を言うねぇ? 小説だなんて そんな風に言ったらイウェリド様がただの小説家みたいじゃないか ハハ それにしてもロリア譲がこんな考古学に興味があるなんて意外だな?」

「だって~ 王宮ではみんな静かだから退屈なんですよ~! ヨハネス様のように色々お話して下さる方は珍しいです エヘヘッ もう少しお話して下さいよ~ ね! ヨハネス様~」

「ハハ そうだな~ どうしようかね~ 困ったな ハハハッ」

「ニネット~! ニネットさんも知りたいでしょ~? そうでしょ~ ね?」

「・・・・聞かせて下さるのなら・・・ありがたく聞かせていただきます・・・」

「ハハハ なんだか吟遊詩人にでもなった気分だな? フムフム そんなに知りたいのなら少しだけ聞かせてあげようかね~」

「わ~ 本当ですかー!」

「・・・・」

「イウェリド・エタとはね さっき言ったとおり イウェリド・ド・ローランド様が翻訳した写本に過ぎない 翻訳本であるだけなのに それが事実なのかデタラメなのか分からないだろう?」

「まあ! じゃあエタというのは全部ウソなのですか? みんなイウェリド様に騙されていたのですか?」

「うーん ロリア嬢 そう断定してはいけない 翻訳本という物は原本があるということだろう? その原本というのがどんな内容なのかは確認出来ていないから・・・ むしろ翻訳本よりもずっとすごい内容を持っているかもしれない」

「それで その内容って一体なんです!? 気になります!」

「ハハハ それはまだ教えてやれんよ 考古学というのは簡単に全て分かる学問ではないのだよ ハッハッ まぁ私はちょっと詳しいがまだ秘密だからな ハハ」

「わあ~ん! 気になるのに秘密ですって? ヨハネス様ったら憎い人~ いじわる!」

「まあまあ あまり焦りなさんな かわいいロリア嬢にまた話を聞かせにくるから 私も王城までやるべき事をしに来たのでね だからまた今度会おう」

「へへ 今度は絶対に教えて下さいよ~ぉ」








-深夜 パレザノの岸 森深く-







(森の奥だと聞いたが 随分と遠いのだな・・・ やはりあちらも人目に付いてはいけない人たちなのだろう・・・)

(幸い魔物も寝静まっているようだ・・・ このまま上手く事が運べばいいが・・)



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「あなたが紹介にあった人ですか?」

「はい お会いできて光栄です 私はトムソンと申します」
(しばらくこの名前を借りたほうがいいだろう もう世の中にいない方の名前こそ 問題の起こる可能性は一番低いから)

「クアディールと申します 普段は主にナルビクの支部に所属しているのですが 今回は任務もありここまで参りました

「・・任務ですか?」

「指名手配の人を捜しに来ただけです 日常的な事ですよ」

(わざわざナルビクからケルティカまで来なければならない事が日常的・・・・か)

「依頼を受けた事に関しては 私どもで手助けしたいと思っています もちろんトムソンさんもそれに見合った助けを我々にして下さるでしょうし そうでしょう?」

「見つからない事くらいの情報提供は可能です」

「見つからない事くらい・・か 非常に多くの意味を持った言葉ですね トムソンさんも近衛隊所属ですから慎重なのでしょう  そして我々も危険な取引にはやはり確認が必要だと思うのですが トムソンさんの考えはいかがでしょうか」

「・・・証明が必要ということでしょうか?」

「理解が早いですね では遠まわしに言う必要はありませんね では書面を用意します それで互いの素性を守る事になるでしょう」

「わかりました 信用を守る姿を見せるのは 取引の基本ですから」

「では 依頼の物をお渡ししましょう ただ夜明けまで待っていただけますか? じき仲間が持ってくるはずです シャドウ&アッシュで直接製作した物ですから これのせいで困難を被るような事はないでしょう」

「ありがとうございます ではこのまま待たせていただきますね」

「こちらの必要な情報については 追ってこちらからご連絡いたしますので・・・私どもは先に引きますが ご容赦願います」

「はい またお会いしましょう」

(ふむ これで終わりか 身分証を受け取ったらカフェの地下に戻ろう)










-地下アジト-




「さて ボリス様 レイ様 今晩ですが 少し準備が必要ですよね?」

「何?」

「やるべき事  ・・・・もう少し分かりやすく説明すると フォンティナ家のパーティーに行く準備です」

「お・・・おい!」

「ギル いいたい事はわかる だが必要なんだ・・・ レイ様に約束したから そして私も約束を受けたわけだ 手を借りる事にしたからね 最初からこうするつもりだったし こうしなければ何も確認する事ができない」

「フォンティナ家のパーティー・・・? ・・・ それが 約束した道・・?」

「お前がそこまで言うのなら 私はこれ以上言う事は無い ・・はあ だが約束したかわいいシャペロン(付き人)は消えたって訳か こんなに目立つやつらをぞろぞろと連れて行くことになるとはな・・・故郷のお父様が知ったら小言を100日も言われそうだぜ」

「不平は後で聞いてやるから 今は私を手伝ってくれ」

「・・・久々の社交界に戻ってきた貴族のおぼっちゃま かわいいシャペロン ・・・はダメになったから 配役を決めねばな 何という演劇ごっこだ まったく」

「演劇・・?」

「あの フォンティナ家に行くだなんて あまりにも無謀な話にしか聞こえません そんな所に私とレイは何の準備も無く行くつもりはありませんよ」

「あ・・・選択権が無いとは言いませんが でも これ 随分高く払って手に入れたんですよ 身分証」


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「何も言わずにそんな物・・・・」

「うん 行く どこに行けばいい?」

「レイ!」

「なぜ?」

「・・・ ・・・わかったよ」


(レイ様は行く気がある ボリス様もなんとか納得してくれたか 手に入れた紙切れが本当にエタと深い関連を持っているという仮定のもとに成立する話しではあるが 一人より三人のほうが確認しやすいだろう)

(それ以外にフォンティナ家の書斎は調査してみる必要があるし ・・・でも無謀な事には変わりない その前にレイ様のアーティファクトがどんな形であれ反応してくれないだろうか ・・そうすれば助かるのにな・・)


「これが身分証?・・・マリ?」

「偽名です とりあえず今回限りですのでパーティーの間だけご理解下さい」

「分かった ボリスは?」

「・・・ジン?」

「ああ 適当に決めた名前です ありがちで忘れやすく 不自然ではない名前です」

「・・さあ 名前も決まった所で 簡単に配役を説明するぞ よく聞いておけ では予め言及したとおりフォンティナ家へ行く 月より燦躙たる松明が並び 馬車の音が騒々しく おそらく王城全体が賑やかだろう」

「・・・・ギル すまないが後はまかせるよ それでは私はお先に失礼・・・」

「お・・・おい!」


(準備で忙しくなる その前にランズミの所へ行った方がよさそうだ 一人にしておくのは心配だし・・・)






-カーディフ-


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「取引をする・・・? 捕まえた公女を放してやる代わりに誓約書を貰ったと言う事は 我々に敵対する意味だと思ったがね それなのに取引か・・厚かましいのか それとも勇敢なのか?」

「グレッグさん どちらが利益になるかよく考えた方がいいだろう」

「公女の誓約書か・・・今さら出すその魂胆は何だ? カルツ商団が公女の誓約書を手に入れたというウワサを聞いて焦ったんだろうな」

「誓約書の内容まで公開されたという話は聞いたことが無いが? フフフ どちらが利益になるか考えた方がいいと思うがね 公女に死んで欲しいと願う者 生きていた欲しいと願う者 公女の所在を把握しようとする者達が多いんじゃないか?」

「紙切れなど偽造する事は何でもない そんな物で私達を脅迫できると思うのか?」

「あなた達がどちらに属するかは知った事じゃない 脅迫ではなく取引という事も出来るのではないかね? 時に真実はつまらないものだ フフフ」 

「・・・・・」








-ランジエ家-






「あ お帰りお兄ちゃん あのね・・またプリンがいなくなっちゃったの 大丈夫かな・・・?」

「大丈夫だよ カスタードは賢いから」

「でも ・・・いくら賢くてもプリンは他の人たちから見れば普通の犬だから・・・ うーん 元々よく歩き回る子だけれど・・・ちょっと心配で・・」

(うーん 薬をもらいに行く時間だからそちらに行ったのかも知れない それにしてもいくら賢いといっても 犬がそこまでするだろうか?)

「ランズミ 一度探してみるよ 少しまってて」






-病院前-



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「そろそろお別れの時間かしら? 犬の名前が分からないから正式に挨拶出来ないのはわたくしのせいではないわ」

「ワン!」

「その点しっかり覚えておきなさい それではお前が身を投じて得た薬なのだから 早くお前の主人に持っていってあげなさい」

「ワンワン!」

「さあ・・・わたくしはそろそろ家に帰らねば」







「ん 何だカスタード お前・・・こんな所にいたのか? お前の主人が神出鬼没だからってお前まで私を苦労させるつもりか? まったく 犬に連絡を残せとは言えないしな・・・」

「ワン!」

「何だ薬をぶら下げて 気の利くやつだな どこで手に入れたんだ? まさか直接病院に行ったのか はあ 本当にますます人間っぽくなってきたな・・フフ」

「カスタード!」

「ワン!」

「カスタード いい子だ 本当に薬を手に入れてきたんだな」

「ワワン!」

「お前さ・・ 犬と人がいたら 常識ではまず人に挨拶すべきじゃないか? それにさっきの態度はなんだ お前の客を私に押し付けて出て行くなんて 無責任じゃないか」

「ああ・・・そうだな うん すまない」

「まったくお前らしくなくて気に入らないな いつも警戒心が強く礼儀正しいお前らしくない」

「さあ なんだろうな とにかく薬を手に入れたからランズミのところに行かないと」

「しまいには返事も避ける気か?・・・ ああ まったく! カスタードプリン お前の主人はどうなってる?」

「クゥーン」







-ランジエ家-




「本当? プリンが私の薬持ってきてくれたの? プリン・・・ありがとぅ・・・」

「ワン・・ワワン!・・ワン!」

「お兄ちゃん さっきギルデンスターンのお兄さんがきたよ なんだか忙しいみたい 挨拶だけして帰って行っちゃった・・・付いていかなくて平気?」

「ああ 外で会うことにしたから」

「ところでお兄ちゃん・・これ ある方がいらっしゃって置いて行ったの お金たくさん入ってて 誰?ってきいたんだけど教えてくれなくて・・・誰だか知ってる?」

「ランズミ お金は触るとよくない」

「大丈夫 手は綺麗に洗ったわ ところでお兄ちゃん・・・ もしかして危ない事・・してるんじゃないよね? もしかして私のせいで・・・」

「違うよ ランズミ 心配しなくてもいい」

「本当に? 私 お兄ちゃんを信じてもいいんだよね?」

「うん」

「もし・・もしも お兄ちゃんに何かあったら・・わたしは わたしは・・・」

「大丈夫 お兄ちゃんがランズミを傷つけるようなことするわけないだろう?」

「でも・・・」

「大丈夫だよランズミ それより薬を飲まないと プリンが頑張って持ってきてくれたんだろう?」

「うん そうだね」


(ギルデンスターンが長いこと待っている ランズミも薬を飲めば落ち着いて眠くなるだろう)

(行ってみるか 招待されぬパーティーへ・・・・)








-ケルティカ城門前 馬車 夜-


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「各自配役を忘れるなよ 軽い気持ちで遊びに来たのではないからな ・・・疑われる可能性は少ないが大人数になってしまったし ・・・はあ 一体お前は何を考えてるんだかわからないよ」

「不平不満が長い リルボン家のギルデンスターン様 メイリオナ様が来なかったからって 彼女の役目までお前がするつもりか?」

「メイリオナ嬢まで連れて行けと言ったら いくらお前の頼みでも私は断っただろう 恐ろしい事言うな」

「それでは マリ様 ・・・護衛をお願いしますよ」

「うん 護衛騎士と言えばいい? そしてボリスは・・ジン 私のペア あなたが決めてくれた事 全部覚えている」

「ボリス様はその偽名が気に入らないようですが 再び使う事はないでしょうからご理解下さい」

「・・・・」




執事の声が聞こえた


「ギルデンスターン様 フォンティナ様の邸宅に到着いたしました」


フォンティナ邸宅の大きな門が開かれ 馬車は煌びやかに光る世界へ入っていく







-フォンティナ家-




「眩しい」

「そこまで規模の大きいパーティーではないようだが」

「よし 中に入れるぞ では何を計画したが知らないが 思いっきり遊んで来い 私の学友 ミル様」

「名前を貸してくれてありがとう リルボン様 召使ごっこが出来なくなって残念だ」

「・・・・残念がっている顔ではないがな・・・」



(この庭園・・見覚えがある 前にあの方に連れられて一緒に来た書庫の窓から見た場所・・・)

(ならば あの書斎はあちら・・のはず あとで機会を伺い行ってみよう)


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「パーティーはもう始まっているな」

「これくらいの時間の方が丁度いい 視線も集めないしな」

「今日のパーティーにどうしても参加しようと思ったのは あるレディーに会って見たかったからじゃないのか? 果たしてその忙しいお嬢様に会えるのかねえ」

「直接対面するつもりはない 会うのは困る レディーは意外に頭の切れる人かもしれないから・・・ それに他にも目的が・・・いや この話はとりあえず後にしよう」

「ああ・・・人が多いからな はあ 頭が痛いよ 頼むから各自の立場しっかり忘れないでくれよ・・ 私は今から適当に貴族のおぼっちゃまをして目を引いておくから」

「・・では」




「ミル・・・他の命令はない?」

「はい」

「じゃあ私達は何をすればいい?」

「配役を忠実に振舞って頂ければよいです 忘れないで下さい マリ様」



(ナヤトレイ様のアーティファクトは相変わらず反応なしか うーん まぁ私にも反応した事が無いから もしかしたら予想が外れたのかもしれない・・・)

(こんな所でネックレスを見せてくれと言う訳にもいかない フォンティナ家のお嬢様に関しても もう少し調査してみたかったのだが)

(しかしあの紙切れはこちらが見つけ出せるものには見えなかった トラブルの方から訪ねてくるようになっている・・ と考えるしか 少なくとも私の仮説が正しければの話だが)

(あそこにいるのは・・・ファラモン様か・・ 商業ルートに関しての見識が評判だそうだが・・ せっかくの機会だ 一度話して見るのも悪くないだろう)

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「失礼致します 初めての方にお会いするのはいつもときめく事ですね 特に今日はフォンティナ家のご令嬢とあれば」

「ええ 派手なパーティーですしドキドキしています 公爵令嬢に会えるのは嬉しい限りですね あなたはリルボン様の学友の方でしたっけ? お名前は・・・」

「ミルと申します ファラモン様 お話しはたくさん伝え聞いております 王城にもよくいらっしゃられる様で」

「ええ まだウワサに過ぎないことでありますが 某商団がかなり影響力のある文面を手に入れたよな話を聞きましてね あ 初対面なのにつまらない話をしてしまいました」

「いいえ ゴシップがあってこそお互いに会話が出来ますから」

「確かではない話で失礼・・いたしました 楽しい時間をお過ごし下さい」

「はい ファラモン様も楽しいお時間を・・・」



(カルツ商団に絡んだ誓約書の話しがもうここまで流れて来ているのか? 意外にウワサは早く回っているようだ さて ファラモン様の友人のニゲル様にも話してみようか)




「リルボン様の学友の方とおしゃいましたね? 私はニゲルと言います それにしても派手なパーティーですね~ 」

「お会いできて光栄です ニゲル様 私はミルと言います」

「ミル・・・なんだか学者みたいな名前ですね リルボンさんのように 学問の才能がある方々は羨ましいです 父は私にも王立アカデミーに入って欲しいようですが 残念ながら私はあまり向いていないようでして メルカルト家の二人のように家門の名に迷惑を掛けないと良いのですが・・・」

「メルカルト家とは・・・ランケン様のことでしょうか?」

「はい ランケン様もその家のお嬢さんも・・・お嬢さんの方はのお名前はよく覚えてませんが とにかく変わり者で有名でした」

(メイリオナ様・・・やっぱり変わり者で有名なのか・・・)

「フォンティナ家の書庫も学問を研究する人々には希望の対象です」

「書庫ですか?」

「はい フォンティナ伯爵が学問に関心が高く とても立派な書庫をお持ちだと聞きました 一度見物してみたいものですね」

(書庫・・・か・・・)

「おっと あちらにいらっしゃるルシンダ様がミル様に挨拶をしたいようです しきりにこちらを眺めていますね 人気のある方のお時間を私が無駄にしてしまったようです」

「いいえ お会いできて嬉しかったです ニゲル様も楽しい時間をお過ごし下さい」

(ルシンダ様がいらっしゃるのか・・・困ったな)



「見覚えがあるようだけれど もしかして前に会った人かしら?」

「きちんとした答えが出来ず申し訳ございませんが・・・初対面だと思われます マダム」

「あら 学者にしてはかなり正しい礼節を身に着けているようね でも確かにどこかで見たような・・・」

「マダムのような品位のある方にお会いしていたら 私が覚えているはずです」

「ホホホ 話し方が実に結構だわ」

(ふぅむ 困った 出来るだけ早く避けよう 話題を変えるには褒め言葉が一番だ)

「横にいらっしゃる 美しい方はどなたですか? 飛びぬけた美貌がそっくりな所からして 妹さんでしょうか?」

「ネリシアの事かしら? ホホホ妹だなんて あの子は私の姪にあたる子よ」

「それは意外です お二人の美貌があまりにも飛び抜けているので 私の目が眩んでしまったようです」

「この頃には珍しく愉快な青年 女を喜ばせる方法をよく分かっていること ホホホ」

(幸い話題はうまくそらせたようだ 一緒に参加している姪の方のお名前はネリシアと言ったな)


「本当に素敵なパーティーですよね お初にお目にかかります ところでお名前は? 伯爵様とはどういったお知り合いなのです?」

「いえいえ 私はそんなに高貴な身分ではありません 学友の招待でパーティーに参加した学生です」

「まあ! 学生ですって どうりで落ち着いて見えましたわ~ ギルデンスターン様が学問に関心が高いというウワサは私も聞きました」

「私はミルと言います」

「他の男性方とは違った魅力を持っていらっしゃると思いましたのよ 私の婚約者もあなたのように美しい方ならよかったのに まだ まともにお会いした事はないのですけれどね」

「それはそれは おめでとうございます」

「あ・・・結婚・・・そうです ええ・・・祝ってくださりありがとうございます でも・・・いつも誰かの恋人でいたいと思うのが女なのに・・結婚はその希望を切る刃物のようで心が痛いんですわ」

「ロマンチックですが 複雑ですね」

「でも今日はあなたのような方とお話が出来てよかったわ パーティーも楽しくて・・・お茶もお菓子もおいしかったし それにカクテルが最高ね! あなたも一杯いかが?」

「ありがとうございます 楽しい方と話を交わすことが出来て光栄でした では楽しいお時間を・・・」

(とりあえずは この場に慣れることが出来たか・・・ ん・・?)



会場の隅で 兵が令嬢に伝言を伝えるのが見えた

「・・・ ・・お嬢様・・・」

「・・・ ・・・ 帰ってきた? 分かったわ・・・」


「皆様 しばらく失礼致します 素晴らしい夜をお過ごし下さいませ・・・」



(公爵家の令嬢の存在とはすごいものだ 単純にホールから退場するだけでもみんなの視線を集めるなんて だが今なら書庫に行けそうだ)






-フォンティナ家 庭園-



「やっぱりこの庭園 見覚えがある・・・前にあの方と一緒に来た書庫の窓から見えた場所だ 私の記憶が確かなら 書庫はこちらのはず・・」




-フォンティナ家 書庫-


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(やはりこの書庫はあの時にきた場所と同じだ・・・ ここならイウェリド・エタの貴重な筆写本が残っている可能性が高い この国のどんな所よりも・・・)

(よし 人が来ないうちに探してしまおう 量が多いから書き写しながらになるか・・・ 幸い本が多いから身を隠す場所もありそうだ)





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[水瓶座]

水瓶座は山羊座と魚座の間に置かれている正座だ 水瓶座は海と呼ばれるが これは空に水と関連した正座が多いからだ

鯨座や魚座などがその例といえる ある神話では 水瓶座の水瓶から水がこぼれて巨大な川が作られたと伝える

占星術で水瓶座は老年の星座と呼ばれる それは水瓶座が冬の端に位置しているからだ 冬は老年を象徴し 老年は人生の知恵を意味する

水瓶座は自分の生を忠実に生きて年を取り 真理とは何かをぼんやりではあるが分かっている賢者の星座だ

冬の端 春がおぼろげに予告される時期 冬が残した傷の為 水瓶座は春を切実に夢見る

理想主義だが夢想家ではない 知性と行動力が結びついた理想主義は時として大きな変化を呼び起こす事になる

水瓶座は天才性と知性を象徴する その為 ある占星術師は全ての星座の中で最も知的だと言う

新しい情報を拒否感なく受け入れ 何でもすぐに覚え吸収する 創造的な知性も水瓶座の特徴だ

清く神秘的な水を豊富に含む 水は生命の根源だが 形状も色も味も固定はされていない 水は見る者の視覚によって自由で変幻自在である

水瓶座は創造主だ 自信の水瓶の中に豊富に含んでいる水のように 偏見なく柔軟に変化する

全てのものを受け入れ 同時にどんなことにも縛られない 水瓶座は革新的だが不慣れであり 天才的だが不安定にきらめく生を生きる

いっぱいになった水を傾け 躊躇うことなく注ぎ込む形として表現されもする それは既存秩序を崩し 観念に挑戦する革命家だ

それは全てのものを転覆させるが 同時に何もならない 永遠に水を満たし幾度となく逆に注ぎ込む 革命家 それ自身として残る



[時空間歪曲に関する報告書 第24章]

報告者 アノマラド王立科学者 ランケン・メルカルト 報告先 アノマラド王立学術会

周知の事実のように 領域Aと領域Bを任意に指定し比較作業を行った時 ふたつの地域における差が度を越えており

断絶と定義しても良いほどの不一致を示しているところが増え続けている

このような現象が起きているという事実自体は証拠として提示できる程 十分な標本を確保している最中だが その理由をまだ明かせずにいるという事が非常に残念である

しかし綿密で慎重な実験の結果 空間歪曲は証明するに値する標本を提示可能になったことを喜びと共に報告する

空間歪曲は昔から大きな魔法の力によって 人為的にも遂行されてきた事であり 大量の力を一度に放出する魔法の力を利用した大量輸送装置などの古代遺跡がその証拠である

しかし現在起きている空間歪曲はモンスターの出没とほぼ同時に起きはじめた現象として不思議な災難の一種とい扱うしかない訳であり・・・・

調査の結果 空間歪曲とモンスター出現の原因として有力なものは コアの露出だと言えるだろう 要するに内部に存在すべきコアが何らかの理由で露出し そこから変異と時空間歪曲が始まったということである

ランケン・メルカルトはこう結論する コアの露出が始まったことはテシス自らの過ちと言うよりは外圧と見る方が妥当である

よって争点になっている歪曲を防ぐ為には 応急処置よりももうすこし根本的な解決策を探さなければならず これは当然外圧が何であるかを知る事から始めなければならない



[イウェリド・エタ 筆写本]

イウェリド・エタはこのまま沈黙するのか?

イウェリド・エタ以後にシエンの解釈に成功した者はおらず イウェリド本人に関わる史料も登場しなかった その為多くの人々は 彼がエタの石版の内容を隠す為に

石版の内容の一部だけを翻訳し暗号化してシエンの伝承を中断したのではないかと考えている また イウェリド・エタのうち6番目の文章は消えたと言われているが

実は初めから存在しなかったと信じる人も多い 彼が6番目のエタ石版を意図的に解釈しなかったということだ 

疑問的は多い なぜイウェリド・エタは影として残る事を選び 死ぬ日まで世界に予言の存在を公表しなかったのか?

影として残ろうとしたのなら なぜ敢えてエタの石版を翻訳し本として残したのか? エタの内容を死んだ後に公開したのなら なぜエタの石版をありのまま翻訳せず暗示的に残し 6番目の石版を翻訳しなかったのか?

これら全ての疑問が度々提起されたが 死人に口なしである そしてアケロス王国が自然にアノマラドの一地方に転落し 以来その名前さえ歴史の中に消えてしまった

さらにその後アケロス王立図書館の偉大な研究は散り散りになってしまった



[オルランヌの現情勢に関する報告書 524]

クラレット公爵の政権掌握は順調に進んでいるという報告にもかかわらず まだ前大公に対する支持が完全に消えたと見るのは難しい状況 後継者ベルナールに続き シャルロット公女まで失踪した現状ではあるが 公女の生存を信じている説がある

アノマラドの立場はオルランヌの王政修復というクラレット公爵の名分をどう解釈するかに異見がある・・・・・







「ちょっと!」

(・・・・!? ボリス様の声?)

「・・・何事? あなた達は確か ルウェリン卿の同行ではなかったかしら? わたくしに用件でも?」

(まさか・・・ 令嬢か?! いけない 隠れなければ・・・)






「・・・・誰もいないじゃない・・・ わたくしの予感が外れたのかしら・・・ ・・・・あら・・・なんだか外が騒がしいわね まさかセティリア 騒ぎを起こしているんじゃないわよね」




(ふぅ・・・幸いばれなかったようだ  よし 大方は写し終えたし 今のうちにここから出よう)






-フォンティナ家 中庭-


「ボリス・・・まだ誰か中にいる・・・」

(驚いた ナヤトレイ様は勘が鋭いな ・・・役に立ちそうだ)

「・・・・誰か?・・・・あ ・・・あなた何をしているんですか 危険な事には巻き込まないで下さい」

「・・・・申し訳ありません でも短時間で書き写したので少し大変でしたが 幸い成功しました」

「それは・・・何?」

「この前ウサギのぬいぐるみから見つけた物と類似したメモを見つけました ・・・意外ですが読めるような気がして とりあえず書き写しました」

「読める?・・・どういう内容?」

「ちょっと・・・場所を移した方がよさそうです 誰かに見られたら確実に疑われる状況ではないですか」

「あ 一理ありますね」

「じゃあ正門の方へ行こう 馬車がずっと出入りしてて誰も気にしないから」






-フォンティナ家 正門-



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「ここなら 人目にも付き難いでしょう では 読んでみます・・・・・」



影から目を離し光を見よ あの燦爛たるものは言語をもって君たちに帰る日を待つ 見つけよ 神々しき種族の子孫 

君たちはあらゆることを語る義務がある故 新たに明けゆく空の下でも滅亡しないだろう

語る者の口に見える者の目 開く者の耳に飛ぶ者の羽根 隠されたヴェールを上げ 君たちは鮮明に見るのだ 

影ではない鏡の外の存在を・・・・



『・・・・しなければならない  あなたたちは・・・・そうすべき義務があるから・・・だから』





「どういう・・・ことだ・・・ 何か声が聞こえる・・」

「ボリスも聞いた? ・・・誰もいないのに・・」

(義務・・・? なぜ資格ではなく義務と言ったのだろう・・)



『・・・しなければならない・・・・』




「!!」

「これはなに?!・・」


声が聞こえた時 三人の周りに陣が現れ あっという間に全てを飲み込んでしまった
















-???-





「・・・平気そうね」

「まさか 平気なんかじゃないよ 引導者嬢」

「今の状況がどうなっているのか 二人は分かっている?」

「まぁ 本国との交信が切れただろう」

「・・・感想は?」

「おもしろい・・・って感じかな? どうかな 正解かい? オーバード君」

「こうなるだろうっていつも話していたでしょう? 本国は私たちをいつも突然変異扱いして来たのですから この力を必要としているのに それを認めようとはしませんでした 彼らの為に努力した結果がこれです」

「選択肢は二つ 帰るか ここに留まるか でも帰るのは現実的に無理だ 今の所は」

「こんな状況でも分析ですか?」

「君は帰るつもりだろう? 本国に そうすればこの状況についても正確に把握出来るだろうし抗議出来るからな で オレはそれが現実的に不可能だと言ってるだけだよ」

「・・・・・・」

「明らかなデータがあるだろう? 最初から本国との交信は一方的だった 向こうが送受信チャンネルを開いてなければ こっちでいくら頑張っても交信は不可能なんだ 君が知らないはずないだろう 君は指折りの技術者だ ここの交信装置を完成させたのも君だから」

「不可能!不可能! あなたはいつも今の状況を言葉で表す事しかしないのですね データで判断を下すのは誰にでもできます でも それなら人間と機械の違いはなんでしょうか? あなたの心臓は機械で出来ているんですか?」

「何を怒っているんだ? オーバード君 君が怒ったって確立は変わらないよ」

「いつもそんな風ですねあなたは・・・  そしてあなたも・・・いつも腕組をしたまま冷たい目で状況を観察するだけ こんな状況になっても傍観者でいるつもりですか ウィンターさん」 

「・・・・・」

「一言ぐらい言ったらどうですか? 本国から捨てられた感想とか」

「・・現実は現実に過ぎない 怒っても何も得られるものはないだろう」

「なにもしないで得られるものもありませんよ」


「・・ふむ 引導者嬢が会いに来たということは 全員集合の命令がでたんだろう? アレグロ君はみんなを集めるのが好きだからな」

「そう 全員集合 行こう」






(今のは?・・・・エタと何か関係があるのだろうか? 単純なるエタの筆写本に空間移動があるとは思えない それにまだ根拠が足りないから でもこんな幻を見せて何を言いたいのか・・知る価値はありそうだな 行ける所まで行ってみよう)










-???-


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「・・・以上が現在の状況です 質問はありますか?」

「一つ確認したい事がある つまり通信回線自体はまだ生きているってことか? 一方的に本国が送信要請を承諾しないだけで 回線まで切れたわけではないという意味なのか?」

「オーバードさんが確認したところではそうです」

「そうです 送信装置 受信装置 どちらも技術的な問題ではありません」

「ならば 向こうで何か変更でもあったのかも知れませんね すぐ再接続が出来るようになる可能性もあります そうでしょ姉上?」

「・・・公式な場でいつまで甘えるつもり? コードネームで呼びなさいと何度言えば分かるのかしら? ミスト」

「あ・・・失礼しました エターナル とにかく一時的な回線エラーかも知れないじゃないですか まだ結論を出すのは早いですよ」

「でも 最悪の状況を仮定して行動する必要がある」

「例えば二度と本国から交信がこない場合とか?」

「あり得ないわ! 本国でもわたくしがここにいる事を知っているのよ! それなのに交信を止めるとでも? 本国がここを見捨てるわけないわ!」

「保守派は始めからこのプロジェクト自体に懐疑的だったから 彼らが政権を握ったのなら オレたちの存在自体をなかった事にしてもおかしくない 最悪この星に適応して生きていく事を考えた方が良いだろうな」

「あ・・あり得ないわ!」

「最悪を想定するのは悪い事ではありません でも帰れなくて良いという風にも聞こえますね ボクはその言葉には同調できません」

「まぁまぁシュぺリア ブラッド ケンカしないで 大丈夫大丈夫 僕たちにはここがあるよ テシスは僕たちの星だからさ」

「厳密に言えばボクたちだけの星ですね アレグロさん」

「この星ではオレたち以外の生命体はまだ確認されていないから」

「すぐに現れるさ! とても小さくてか弱い友人がね そうしたら彼らの為にこの星でオイラ達がすべきこともたくさん出来るだろう?」

「・・・全てはエデルの為だった でもエデルがあたしたちを捨てたのなら ずっとこの仕事を続けなければならない理由はあるの?」

「今から心配する必要は無いんじゃない? みんなピリピリしているのは分かるけど 僕たちがケンカしても無いも変わらないよ まずは今の状況に従いつつ連絡を待ってみよう」

「うんっ! じゃあわたしは今から生命体培養スーツの様子を見に行ってくる!」

「あ オイラ行くよグロリア嬢 今日こそ一つくらい芽が出るかもしれないからな」

「ありがとう クェイサーさん」

「・・話は終わったの? 解散しても良い?」

「あ そうだね 解散!」






(あの中には私がいる・・・ あぁ もちろんここにいる私ではないが 私は何を見ているんだろう? 私はあの人の気持ちが分かるような気がした 彼は一人だけど 間違いなくひとりではない・・・・)







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『どれだけ経てばこの傷が癒えようか? 私達は必死に努力してきたのに それなのにこんなふうに投げ捨てられるなんて』

『遠く寂しい地に捨てられるなんて・・・ 罪人のように閉じ込められて・・・幽閉されて・・・・忘れられたまま』

『・・・・どうして私達だけ このように寂しく死んでいかなければならないんだ? ・・・・どうして私達だけこのように侘しく忘れられなければならないんだ?』

『忘れられたくない 忘れられたくないのに・・・』

『ああ しかし私達はわすれられた』

『私達は捨てられ 幽閉され やがて伝説のように儚く散ってしまった 長く 遥かなる残酷な歳月に閉じ込められ消されてしまった』

『だからあなただけは ・・・あなただけは真っ直ぐにみつめて 見なければならない者よ 見ることの出来る者よ』

『義務であり権利 破滅であり再生 遠い記憶であり近い未来』


『・・・・のために ・・この方法しかないから・・・・』












-???-


『パターンナンバーCX-02F317JN ガードシステム解除 警告音消去完了・・・ コードXCVVA-S8W1解凍開始 解凍開始・・・』

『7次ガード解除 警告音発令抑制 パターン6YB コピー 稼働率127 コアパターン コピー完了 受信解除 ガード解体 パターン一致・・・』




 『命令実行』



『バックアップ完了 コピー完了 セキュリティシステム再設置完了』



『・・・・警告 警告 パターンG発動』


『データ削除記録バックアップ失敗 警告 警告 爆破3秒前・・・』


 『実行』


『爆破命令 実行・・・実行完了』






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-???-




「どういう事なんですか? 回線装置が破壊された? そんな・・話にならない! 何とか言って下さい 教授!」

「・・・・」

「落ち着け 彼のせいじゃないんだ」

「それは分かっているけど・・・でもオーバードさん ボクも納得出来ません 本国との送受信装置が破壊されたって 本当ですか?」

「残念ですが事実です 誰かがコアに接続してシステムを削除したのです そして回線にも物理的衝撃を加えたらしく 現在まったく機能していません」

「じゃあ修理すればいいの? 修理する事は出来る・・・?」

「私の力では出来ません」

「君に出来ないって事は 誰にも出来ないって事だな ・・・これで本国から連絡をよこそうとしても 出来なくなったんだな」

「姉上・・・いえ エターナルは?」

「管理していたコードに異常が発生したからここにはいないよ そろそろ戻る頃だとは思うんだけど・・・」

「・・・ああ 今戻ったようだ」

「遅れてしまった・・・ コードの異常はコアやシステム破壊とは関係ない問題だったわ」

「誰かが破壊したのは 本国との送受信装置だけだった コアそのものには何の異常もない」

「・・・・どうせ連絡の来る事のない装置だもの 使わない装置なんて 別に壊れたって構わないわ」

「そうだね 長い年月も待ったが 本国からは何も連絡はなかったんだろう? 今さら絶望する必要もないよ」

「それでは・・ それでは俺たちはもう本当にここで生きていくしかないというのですか? そんな言葉では納得出来ない・・・ 俺たちの故郷はエデルです・・」

「でも こうかも知れないことは 連絡が途絶えたあの日から ずっと分かっていた事よ あれからもう何年も経ったわ わたしたちがエデル方式で作ったカレンダーで5年以上の歳月が」

「その間 誰も心の準備をしなかったと言うのは嘘か もうこのプロジェクトはエデルのためではない この星を生かすのは・・・・」

「ちょっと・・ちょっと待ってください でも可能性はありました 万にひとつの希望でも ボクにはすごく大事な可能性でした それなのにもうそれさえ消えてしまったんです どうして平気でいられるんですか?」

「でも もうこの星を生かすのはエデルのためではなくなったな これはもうオイラたち自信のためのプロジェクトだ シュぺリア嬢はこの星に何の愛着もないのか? オイラたちの創造物であって宝物であるこの星に」

「そういう話しではありません 愛着の有無とか責任の有無の前に このプロジェクトを始めた原因と使命について言ってるんです!」

「・・私は義務に従うだけ 他の事は考えない 私たちの義務はこの星を生かすこと それは変わらない」

「そうだよ こうなったらこの星をもっと発展させる方法を考えた方がいいんじゃない?答えのない事より 答えの出ることをやろうよ ね?」

「そうだな 生命培養スーツで生命反応らしき物質が発見されたという新しいニュースもあったしな みんなもっと目の前の任務に集中してみたらどうだ」

「目の前の任務? でも本国があたしたちを捨てた今 それに意味があるの?」

「・・・うんざりよ・・・こんな人生 みんなの為に働いているっていうプライドだけで堪えるのももう限界」

「・・・・」


「怒りたい気持ちは分かるよ 一応リーダーは僕だから・・ 僕のせいにしても構わない 絶望しようが泣き叫ぼうが勝手にすればいい!」

「間違ってた・・・全部間違ってたんです 僕たちはこの星で寂しく死ぬしかないんです 他の生命体は何一つ存在しない この荒れ果てた砂漠で・・・」

「実際食料も残り少ないわ 物質合成だけで食いつなげるには限界がある 生命体を培養することは この星を生かす事でもあり あたしたちが生きる為でもあるの でも ・・もう可能性はほとんどゼロよ」

「わたしも・・・そう思う 物質合成機の修理がこれ以上出来ない今 残りの食料が底をついたらわたしたちが死ぬだけ」

「それなら 生命培養スーツを解体して物質合成機の修理をしてみるしかないか 少しでも ただ何日だけでも生き延びるにはその方法しか」

「アルレッキーノ・・・グロリアも・・・いつも希望に溢れている君まで どうしてそんな悲観的な事を言うんだ?」

「みんな・・みんな・・そう言うから・・ みんな絶望したようなことばかり言って! エデルがわたしたちを捨てたって落ち込んで ずっとそうだったじゃない わたしじゃなくてみんなが!」

「・・・・ ・・・外に出るよ 今はグロリア嬢を見ているのが辛い」

「培養スーツを諦めたら 芽生えたかもしれない生命も全部を失ってしまうわ まだ外に出したら生きていられないから」

「騒がしい子ね 辛気臭い声なんて聞きたくないから止めてくれる? 目障りなの」

「・・・しくしく」

「とにかく・・ ボクには理解できません ボクはこの星に残る気はありませんから ボクの故郷はエデル・・必ず本国に帰って見せます」

「・・現在の状況では この星で何らかの生命体が生きていける可能性はゼロに近い だからオーバード君は機械装置を作ることに集中するって言ってたよな?」

「完成段階です いくつかのエラーがあるかもしれませんが 完成すれば少なくとも限りある生命である私たちは長生きするでしょう」

「そりゃ機械は食材もいらないし 年も取らないからな とにかく おもしろい」

「見るだけならどうぞ あなたの見解が役に立つかもしれません」

「さあ これからどうしよう? 僕たちはこれ以上この星の異邦人ではいられなくなった・・・」

「義務・・・記録して 蘇生させて どうにかして生き残るようにすること それだけ」

「たとえエデルから捨てられたとしても あたしたちはエデルを捨てられないから」

「この星に適応する道を捜すしかない 天候もだいぶ安定してきたし 希望がまったくないわけでもない」

「生きている人は 行き続けなければなりませんから いつまでも生き残る事が本国への最大の復讐です」

「みんなそれぞれやるべき道を捜すだろう 絶望と怒りだけでは生きていけないから 僕はこの星が好きだ 僕たちはきっとここで生き残る為に生まれてきたんだ きっと・・・」

「・・・・」

「ウィンターには申し訳ないと思ってる 参加するつもりのなかった君を 無理やり連れてきたのは僕だから」

「別に どこにいたって同じさ」

「・・雨か? まったく 気が落ち込んでいる時に限って雨が降るんだ でも久しぶりだな・・? 外の施設の状態を見に行かないとね 僕は外の砂漠に雨を見物しに行って来るよ モイラ グロリアのことよろしくね」

「な・・・何言ってるのよ・・ それはアレグロの仕事よ! わたしも直ぐに出るつもりなの! やるべき事があるんだから!」

「はいはい 分かったよ」


「・・・・」

「・・・いつまで子供みたいにふてくされてるつもり? さあ 起きなさいグロリア 培養スーツを開いたままにしておいていいのかしら? 雨でダメになってしまわないの?」

「・・・!」

「別にそんなのに興味がある訳じゃないのよ これからどうなるか分からないから 培養スーツの機械装置くらい把握しておいた方が良いと思っただけよ」

「・・ありがとうモイラ あなたの言うとおりね 早く行って面倒を見てあげなくちゃ 残された時間はとても少ないけれど・・」









-中央装置-


cp3-23.jpg



「・・・だから もう意図的に問題を起こさないように コアの接続システムを制限したよ」

「改造は完了です キーワードは13個に分けておきました 一人ずつ管理すれば 誰か一人の意志でコアパターンに接近する事は出来ないはずです」

「キーワードにはそれぞれコードネームを付けたから 自分の分身だと思って管理する事! 以上!」

「どうして13個なんですか? 我々は12人なのに・・ 一つ残ると思うのですが」

「あ・・・データの分割をしたのはオレだ システムを一番効率的なパターンで分けたんだよ 元々人数を考慮に入れたわけじゃないんだ」

「まったく・・・昔からああなんです こいつは・・・」

「幼なじみ同士ケンカしない 残りの一つは彼女に預けたらどうかな?」

「そうだね 彼女に預けよう!」

「それでは 彼女に渡しておきます」


「彼女に託そう」
















-???-




「捨てられた現実を直視した瞬間 本国にとって存在価値がないと言う事実も認めざるを得ない それが嫌だったのか モイラ?」

「・・・・  あなた 無礼よ」

「本当の事を言ってるだけだ ・・・でも 気付いているのはオレだけじゃないぜ」

「・・・何の話?」

「本国に帰ろうと 死に物狂いになるのは卑屈だから嫌・・・でもいつか本国が自分を迎えに来てくれるかもという希望は消せない 期待と絶望の行き来に耐え切れば いっそ通信回線を切ってしまおうと そう思ったんだろ?」

「何のこと?!」

「少なくとも教授は気付いている 一応技術者だからな」

「・・・!」

「それじゃ 道化師は消えてやるよ 一人ぼっちで孤独を楽しむお嬢様」







-???-



「・・悪いけど わたくしはあなたに謝る気はないわ」

「私がモイラ様に謝って頂く理由はありません」

「通信回線は・・・・」

「モイラ様が到着した時 回線は既に破壊されていた そうですよね? あれを作ったのは私ですからそれ位は見れば分かります アルレッキーノのように 目前の現象を分析するだけだと モイラ様の行為だと思い込んでしまうでしょうが」

「・・・・・」

「残念だけど教授 教授は道化師のことを甘く見すぎよ」

「・・・いたのか アルレッキーノ」

「ああ モイラ嬢に鎌をかけたときの反応を見て分かったよ 通信回線を切ったのはモイラ嬢じゃないって ああ 正確に言うと 切ったのはモイラ嬢かもしれないが隠したのは彼女ではない」

「・・・」

「みんな回線を切った衝撃で爆発したと思ってるみたいだけど 通信装置の受信機はその前に消えていたんだ つまりそれを隠そうとした犯人が別にいるって事だな」

「私が作ったからといって壊れた後の部品の行方まで分かるわけではありません 誰かが通信装置の受信機を盗んだのか それで何をするつもりなのかそれは分かりません 残念ですが・・・」

「本当に残念ね わたくしは犯人はあなただと思っていたわ そして今もあなたへの疑いは消えていない」

「疑われても私に言えることはそれだけです 消えた物を探し出す才能はありませんから」

「あれがある限り エデルに帰る望みを捨てられないはずだよ」




「・・・知らなかったな 彼が他人の為に自分の装置を壊すほど親切な人だとは」

「それにこの星を捨てて正確な航海図もなく航海に出てエデルに戻るというのは自殺行為だ 他人の手で壊されるのは耐えられなかったんだろう それで説明になるか? ウィンター」

「・・俺はオーバードがどうしたいかなんて興味がない ・・・呼び出しだ」


「全員集合して 彼が帰ってきた」












-???-


cp3-24.jpg




「それは・・・生物?」

「すごいぞ! ここに生命が存在したんだ!」

「ああ・・・そうね あたしたちは一人じゃなかった・・・」

「この星は私たちのものではない」

「すごくないか? ここからそう遠くない場所で見つけたんだ 何を摂取して生きているのか知らないが 個体数はかなり多かったな 荒れ果てた砂漠の大地に適応したんだろう」

「この星は自ら発展しているんだな やっぱり現実というのは面白い 予測と可能性が絡まりあってデータではあり得ない奇蹟が起こっている」

「グロリアが見たら喜ぶだろうに・・・ あれ? そういえばどこへ行ったんだ?」

「グロリアなら生命培養スーツを見に行ったはず ほとんであそこで暮らしているようなものよ」

「・・・生命反応がなかったら もう本当にあれを解体しなければならないからな・・・グロリアも心が痛むんだろう 他に良い方法がないかな?」



「みんな!みんなー! これ見て!」



「お グロリアが帰ってきたようだな」

「みんな見てこれ! 生命培養スーツで ついに芽が出たの! たった一つだけど!」



cp3-25.jpg



「こんな環境でも植物が芽を出すなんて この目で見ても信じられません まさに驚異です」

「本当に・・・本当にこの星で生きていける生物がいるんなんて・・・ なんだか・・・」

「なんだか奇蹟を目撃した気分だろ? モイラ!」

「べ 別に・・・ こ・・こんな言葉も話せない植物くらいで奇蹟だなんて!」

「あたしたちと一緒にこの星で生きて行く子たちだから あたしたちの子供みたいなものね 大事にしなくちゃ」

「とにかく これで生命培養スーツを壊さなくても良いんですよね 植物が生存できる環境ならば 成長促進の為の装置と薬品を作る方が合理的ですから」

「オーバードさんとグロリアさんを中心にして 今すぐ作業に取り掛からなくては 役割分担をしてチームを組みましょう」

「ああ そうだな これでオレたちは何もせずに飢え死にする心配はしなくてすみそうだ ハッハッ」

「それではまず 動かなくなった無駄な施設のリストを持っているのは・・・」

「あ ちょっと! ちょっと待った!」

「どうしました? 話は終わったんじゃないんですか?」

「その前に・・・やるべき事があるだろう? 今 ここで」

「?」

「クゥイサーが連れて来た子とグロリアが見つけたその子に名前を付けてあげなくちゃ! 名前がないと呼べないだろう」






名前を付けていっぱい名前を呼んであげよう! 長い時間が流れて誰もが忘れてしまった時に その名前だけでもどこかに残るように





一生懸命名前を呼んであげるんだ!
















『あなたに真の言語をお教え致します 全てが忘れ去られない言語を』

『ああ 何故全てのものには終りがあるんだろう? 何故伝えるべきことまで風雨にさらされ散ってしまうのだろう?』


『でも どうかなあなただけは いつまでも色あせないで ・・・・・・・・・・・・・・・ でありますように』



cp3-26.jpg









物語は本を広げて読む物

しかしあなた達は無理やり物語に割り込んできたため

まだ本のページの向こう側にいるようなもの・・・

物語の壁がそれを壊して自分が読んでくれることを望んでいる

あなた達には表情がある

物語を読んで 物語を物語の秘密から取り出さなければならない義務が

あなた達は本当の物語を見つけられなかった為 本に拒否される

本は 語られる事を望むが 同時に秘密を守り通したいとも願う

だからこの壁を 壊さなければ会うことは出来ない

もの言わない物語は存在しない物語に過ぎないから

どうか いつかは本当の物語を見つけて欲しい
























-フォンティナ家 外門-


気が付くと三人とも 同じ場所に立っていた

何事もなかったかのように





「・・・レイ? 本物のレイ?」

「・・・ボリス・・・ 幻じゃないみたい いつから?」

「いつから・・・ って? ・・・うん・・よく分からない」

「あ・・これ・・・・ぬいぐるみの時にみつけた 破れた紙切れ・・?」

「さっき見たのは 全て幻だったんだろうか?」

「ルシアンがいた」

「うん だが本物なのかどうか分からない この幻の中でルシアンは何かが・・・」


「そのひと本人であるはずがないです 実際にあった事の再現なのかどうかさえわかりませんし」

「・・・・」

「これは エタの片鱗に違いないと思います そして少なくてもそれは私やお二人に何か言いたい事があったのでしょう」

「言いたい事?」

「すべきという事は聞くべき話という意味にもなるでしょう ・・・知りたい事がたくさんあるでしょうが 私もまだよくわかりません」

「それがエタというものだと どう確信するのですか?」

「確信ではなく憶測です ・・つまり そう願っている ・・と言いましょうか この紙切れがお二人や私に導かれているという点は確かですが この紙切れが抱いている物語を取り出さなければならない義務があるとさっき聞きませんでしたか?」

「それが 私のやるべきこと?」

「おそらく・・・」

「あなたはエタの為に 俺たちを利用したのですか?」

「手を借りたと言って頂きたいですね 利用するというのは 口車により人を欺き 私的な利益のために操った時などに使う言葉ですから それでは 帰りましょうか? マリ様 ジン様」

「・・・」

「殆ど時間は経ってないようですね」

「さっきの話は・・」

「シッ 金髪は間抜けだという俗説もあるようですが 俗説が正しいことは殆どありませんからね」

「あの女 何か関連があるみたい ・・・何だろう」

「さあ? あんなすごい家のお嬢さんと関わるつもりはまったくないが・・・」

「それでは 疑われる前に戻りましょう しかし守るべき人をほったらかしにして庭をぶらついているなんて 本分に忠実でない護衛騎士ですね お二人とも」

「あなたを守ることも護衛騎士の義務 今回の依頼人が大切に思っている人だから」

「ああ そうでしょうか そういうことでしたら依頼人の友として感謝します」

「ボリス 私たち依頼人のそばから離れすぎた 戻ろう」

「うん 邸宅の中へ・・・」













-オルランヌ-

cp3-28.jpg


「ふぅむ 結局誓約書の正体は明らかに出来なかったのか・・・」

「しかしクラレット公爵 大した内容ではないと思いますよ 公女の身分が回復すれば金銭的な報酬を与えるとか その程度の話ではないでしょうか?」

「どちらにせよ あの男の言うとおりだ あの可愛い姪っ子さまが生きているということだけでも 多くの人が困るという事だ カルツ商団に公女の誓約書があるならば 大公派のやつらにはそれ自体で大義名分になってくれるのだろう チッ・・・いろいろと面倒だな」

「確かに全てを上手くという訳には行きませんね・・」

「フフフ とにかく本当に頭の良い姪っ子様だな このまま時間が経てば 見つからなくてもベルナールの時のように皆が死んだと考えてくれると思ったのに 誓約書があるという事は少なくとも生きているという事 ・・・いよいよこの叔父の手を血に染めさせるのか」

「しかし公女の誓約書がカルツ商団にあるということが事実なら もう公女が自分を証明する方法は非常に少ないという意味になりませんか? 名目上こちらが手を汚さなくても 公女を詐称したので殺したという手法もあります」

「・・・・」

「やはり結論は一つです 公女が死ぬ事 ・・・そうしてこそ全ての事に方がつきます オルランヌの王座に座るのはひとりのみ その道を邪魔する障害は取り去ってしまうべきです」

「ああ・・・そうだ 相手がひとつ駒を出せば その分こちらでも対抗する方法が生じるもの 幸い誓約書を持ってカーディフの権力者が訪問してくださった ・・・一番有利な駒を一つ考えてみよう 駒がなければ別の駒を盗み出してでもな・・・」













-フォンティナ家-


「どこに行ってきたんだ? こんなに長く席を外して・・・お前なあ・・」

「あ・・・すまない 心配したか?」

「そんな事を言ってる場合じゃなく・・・」


「皆様 楽しい時間を過ごされていますか 至らない点も多いかとは思いますが どうか気兼ねなく寛いで頂けたらと思います」

(おっと・・・ご令嬢か・・)

「おかげさまで」

「リルボン家から訪問して下さるとは思いませんでしたわ いつも招待を丁寧に断られてましたでしょう? ルウェリン卿がいらっしゃると聞いて わたし本当に驚きましたのよ」

「お目に掛かれなくて申し訳ございません ご存知のとおりうちの家門の領地はケルティカからは遠い場所にあるので 首都まであまり往来出来ませんで・・ 田舎出身なので礼儀に至らない点があっても寛大にご理解下さい」

「・・・ いえ お気になさらずに・・ それでは お先に失礼致しますわ」



「はあ ・・・寿命が縮まったよ パーティーが終わったら髪の毛が全部抜けてしまいそうだよ くそ・・・」

「それは見ものだな・・・ とても残念だ」

「笑えるのか? お前は・・・ まったく考えても見ろよ その賢い頭で忙しく貴族さん達の機嫌を取って挨拶してたかと思うと 急に野良猫みたいに消えるし お前の連れてきた二人もどこかへ行ってしまうし・・・今日の私はお前のガイドか?」

「うーん 元は私がお前のシャペロン役をしてやることにしてたが 少し計画が狂ったな・・・ すまない」

「ったく・・・むしろ私がお前のシャペロンをした気分だよ 何か考えがあったのだろうから 今それを咎めるつもりはないが・・・ それであの二人は?」

「あの二人ならあそこにいるじゃないか むしろ自分たちが貴族であるかのうように 背中を真っ直ぐ伸ばして堂々としているよ」

「はぁ 立派なもんだ 本当にすごい人たちを連れてきてくれたよ お前は」

「アハハ・・・すまない でも褒めの言葉として受け止めるよ」

「とにかく 私は無作法な護衛騎士と面談してこないとな はあ・・・」



「あ ボリス 依頼人怒ってる?」

「う・・ん・・」

「二人とも どこに行ってたんだ 大人しくしてろよ 自分達の役割を覚えているのか?」

「ごめん」

「はあ あいつの言うとおり 二人とも貴族みたいに堂々としているな いや・・・貴族よりも・・ 特に変わったことはないよな? 一歩間違えるとつまらない騒動を起こす可能性もある」

「・・・実は このお宅のお嬢さんにお会いしました」

「何・・!?・・・あ ゴホン・・ それは一体どこで?」

「庭園で」

「え・・・何がどうなっているんだ? くそ・・・説明が足りてないのはあいつだけで充分だよ」

「庭園で不本意ながら騒ぎがありました」

「でも あれ ミルのためだったから私たちは護衛騎士の役割をしたのではない?」

「まったく・・・」




話の途中 フォンティナ公爵の声がホールに響いた



「皆さん 今夜は楽しんでいらっしゃいますか?」

「勿論ですわ この場にいられるなんて 最高の光栄です ホホホ」

「ハハ パーティーは久々でしたからね どれほど寂しかったか」

「皆さん そう言って頂けると光栄です 至らない点が多く簡単な席だったので退屈かもしれないと思い ちょっとした余興を用意しておきました 外にでましょうか ハッハッ」




-フォンティナ家 庭園-


外に出ると同時に 夜空に大きな花火が上がった


cp3-27.jpg



「わぁ やはりフォンティナ家・・・素晴らしく美しい光景ですわ・・・」

「本当に綺麗ですね・・・ まるで黒いビロードに花を刺繍したようですわ ホホホ」

「まさかケルティカの真ん中でこんな物を見れるとは思わなかったな フムフム 美しい」

「皆さん パーティーも残り僅かですが 最後まで楽しんで行ってください ハッハッハッ・・」













(・・・導かれているという言葉 気になるな その言葉のとおりなら 塔の幻想の中で見た人々が すなわち同じ運命を持った人たちということだろう)

(彼らみんなをまとめて指す言葉があるなら・・・つまりは私たちのクラブのように ひとつの名前のもとに括ることが可能なら・・・ それならば彼らが資格を持っているという意味になる)

(エデル・・・そしてコアパターン・・・ コアはすなわち星の精髄であると同時に生命 マナの根源であると同時に存在の根・・・ コアパターンはまさにそのコアの構造自体を言い表す原理だ)

(ゆえにパターンを完全に理解する事は まったく同じ物を想像する事が出来る・・・という意味になること ・・・興味深いな 一体あの幻想の中の人々は誰だ? 私と他の人々とどんな関係があるのだろうか)

(どちらにせよエタと関係があるなら 話の規模は大きくなるだろう ・・・王室はどこまで把握しているか気になるが どちらにせよあの幻想の中でフォンティナ家のお嬢様にもお会いしたからな 今後は避けられないだろう・・・)





フォンティナ家で見た幻想は一体なんだったのか 果たしてそれは幻想だったのか

同じ姿を持つ人々は閉ざされた世界で何を思う 一番目の月と二番目の月が見つめるテシスとは違う星の話

エデルに捨てられた12の人々 そして13人目の彼女 孤独と絶望が犇く中 見つけた生命の息吹を糧に出来るのか

アーティファクトと引導者の存在は  コアは世界に佇んで 砂漠の砂はいつも無情で

既に其々の存在は見上げた夜空の星のように決まった位置にあるのかもしれない

それはまだ誰も知らないだけであって 行方は決まっているのかもしれない
 
エタの片鱗は少しずつ 物語の垣間を紐解いていく


























-ケルティカ 地下アジト-



「あ~ 待ってましたよ 助言者さま~ このメイリオナ 賢明な助言者様にお会いしたくて待ってましたよ フムフム」

「・・・・どうしたのですが メイリオナさま・・・」

「・・・何さ せっかくカッコよく言って上げたのに ギルほどじゃないにしても 丁寧な言葉を使えって言ったのは助言者君も同じじゃん チッ」

「はあ・・・・」

「まぁ あまり嬉しそうじゃないから いつも通り話すよ フフッ」

「用件はなんですか?」

「チッ 何だよ かわいい顔して冗談が通じないんだから! ああ~私もワイワイとしゃべれる人と友達になりたいよ~ 話の通じる人が欲しい~! ぐすん」

「あの・・・メイリオナ様・・・?」

「とにかく どうであれ 単刀直入に 結論は!  ・・・これ プレゼントだから受け取りな!」

「これは・・・?」

「じゃじゃーん! どう 驚いた? すごいでしょ? カッコいいでしょ? ねぇ?!」

「・・・・」

「オーッホッホッホ! ああ 素晴らしきメイリオナ 偉大なメイリオナ ウフフフ! 思う存分感動しちゃってよ このメイ様が特別に手に入れたプレゼントさ!」

「これを・・・下さる理由は?」

「下さる理由? ・・・何その反応 チェッ・・・ がっかりだよ ぐすん・・・ 生きていく気力失くした つまらない・・・ショック・・ぐすん ううっ 頑張って用意したのに・・」



「おお 二人ともここにいたのか おい メイリオナ この前の決済報告書だが どうしてもあの金額は理解できない ちょっと話を・・・」

「ギル~! 愛するギルデンスターン! お前まで私をがっかりさせないよね? さぁ お前にもあげる これ! 快くお前にあげる!」

「うっ・・! 何だこれは・・・ 私は遠慮する・・・・ それではこれで失礼する・・・」

「ええっ! 今来たとこじゃないか! そんな・・・みんなが私を拒否する・・・ ぐすん 助言者くぅぅぅぅん!」

「お・・落ち着いて下さいメイリオナ様・・・」

「本当に助言者君も このメイのあげたプレゼントが全然気に入らないの? ねぇっ? そうなの?」

「客観的に証明できない判断ではありますが・・・ それなりに 非常に・・・うーん・・ つまり・・」

「どうなのさ!」

「非常に・・・かわいいです・・・・」

「本当に?本当に? フフフッ やっぱり助言者君はそう言ってくれると思った! さぁ早く早く! かわいいと言ったから~!」

「・・・はい?」

「背負ってみなよ~ 早く! かわいいって言ったじゃんか! 自分の言葉に責任を持たないと!!」

「え・・・いえ それは・・・」

「ほら早く早く~!」

「・・・・・・・・」

「わあ~! ステキ~! 似合う似合う パーフェクト やっぱりメイリオナ様は天才的だよ!」

(一体どこで なぜ・・どうやってこんな物を手に入れて来たのか・・・ 本当に矛盾だらけだ・・疲れる・・・・・)

「助言者君ってば ステキ~! ウフフフフフッ」





cp3-29.jpg






(・・・・・・・・・・・)


(・・・・・はぁ)















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ローゼンバーグで活動中
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